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2018/12/18

「好奇心」を見極めるにはどうしたらよいか―定義と見極め方のヒント―

小宮 健実(こみや・たけみ)
1993年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。 人事にて採用チームリーダーを務めるかたわら、社外においても採用理論・採用手法について多くの講演を行う。さらに大学をはじめとした教育機関の講師としても活躍。2005年首都大学東京チーフ学修カウンセラーに転身。大学生のキャリア形成を支援する一方で、企業人事担当者向け採用戦略講座の講師を継続するなど多方面で活躍。2008年3月首都大学東京を退職し、同年4月「採用と育成研究社」を設立、企業と大学双方に身を置いた経験を生かし、企業の採用活動・社員育成に関するコンサルティングを実施。現在も多数のプロジェクトを手掛けている。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

イントロダクション

皆さん、こんにちは。
採用・育成コンサルタントの小宮健実です。

今年も終わりが見えてきましたね。時間が過ぎる速さに、どうにもついていけません。
皆さんはいかがですか?

さて、今回のコラムは、「好奇心」についてです。

好奇心と言えば、本庶佑京都大学特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した際、「好奇心が研究を支えた」とコメントされたことを覚えている方も多いと思います。

企業の採用担当者でも、好奇心が大切だという意見を持ち、そのような人材を採用したいと思っている方は多いと思います。いくつかの研究ではコンピテンシーが開発される前提として大切な能力と言われたりもしていますので、人材育成のコンセプトとして好奇心を掲げている企業もあるでしょう。

しかしながら、いざ選考の際に使える「好奇心の強さ」を可視化する一般化された方法はありません。
一体どのような方法で見極めていけばよいでしょうか。

今回のコラムでは、「好奇心」をどう捉え、どのように見極めていけばよいか考えるためのヒントについて、お話ししていきたいと思います。

ではさっそく始めていきましょう。

 

好奇心とは何か

「好奇心」のような能力を扱う上で、必ず問題になるのが、その定義をどうするかということです。
好奇心という言葉は一般的ですが、「何がどうであれば」好奇心があるとするのか、社内で共通理解を得ることは簡単ではありません。

理解の齟齬を避けるために、敢えて「知的好奇心」と表現したような場合でも同じです。「何がどのようであれば」知的好奇心があるとするのか、自分たちで決めなければいけません。

例えば、普段から読書をしていることを指すのか、何か勉強以外のことについて専門的知識があることを指すのか、高い問題意識を持っていることを指すのか、(1つではなくても)可視化できる共通のイメージを持つことが必要なのです。

それにはまず、社内で成果を出すことにつながる「好奇心が体現されている様子(社員の行動)」を洗い出すことが必要です。ヒアリングやアンケートを実施することも役に立つと思います。

そうした作業が難しければ、その定義を科学に求めることもできます。
もちろん、科学においても「好奇心」の研究は1つではありません。つまり、科学者の数だけ様々な「好奇心」が存在しています。

理解を助けるものとして1つ紹介すると、ハーバードビジネス2018年12月号に、「どのような好奇心があるか」という観点から、過去の研究者の研究をもとにした、5つの類型が紹介されています。

類型 説明
欠落感 自分には足りない知識があり、その知識を身につければ安心できる
心躍る探求 世の中の素晴らしい事物に驚嘆し魅了された心地よい状態(を求める)
社会的好奇心 他者の思考や行動を知ろうとする
ストレス耐性 新しいものや珍しいものの不安を受け入れ、活かそうとする
高揚感の追求 複雑で変化に富む体験のために社会的、金銭的リスクをいとわない

ハーバードビジネス2018年12月号「好奇心の5つの類型」より


筆者の理解でいうと、研究者の方々の好奇心は、「欠落感」という類型にあたります。
「やっかいな概念的問題について夜通し考えていられる」、「答えがわかるまでは諦めない性格なので、1つの課題について何時間でも考えていられる」といった人がこの類型に当てはまるとされています。

「心躍る探求」にあてはまるのは、「馴染みのないテーマについて学ぶのが好き」、「新しい情報を知るのは素晴らしい」というような人、「社会的好奇心」にあてはまるのは、「人々の行動の理由を知りたい」、「他人同士の会話の中身に興味がある」ような人とされており、職種につながるところもありそうです。

「ストレス耐性」は、少し違和感があるネーミングかもしれませんが、ストレス耐性が無ければ、「少しでも不安がある場合、未知の経験は避ける」、「不確実な状況に身を置くことができない」(つまりストレス耐性があれば、未知の経験や、不確実な状況も厭わない)という研究結果からきています。

記事では、5つの類型のうちこれら4つの類型は、仕事の成果を高めるというように紹介されています。
こうした情報を参考にして、自社で言いたい「好奇心」とはどのようなものなのか、共通理解を深めても良いと思います。

では、「好奇心」の見極めについて考えていきたいと思います。

 

好奇心と評価手法

・市販のテスト

最も簡単に評価を行えるのは、統計処理を伴うテストを利用することです。

しかしながら、市販のテストを利用した場合には、実際にどのくらいの信頼性があるのか知ることは難しいと言えます。

また、「好奇心」という表現で、何をフィードバックしてもらえるのか、知りたいことが知れるのか、十分に確認した上で利用する必要があります。つまり、自社で言う「好奇心」とテストで使われている「好奇心」の意味の付き合わせが必要です。

さらにその上で、結果を鵜呑みにするのではなく、本当に自社での使用に合っているのか、結果と実際の人物を突き合わせて検証を行うことも大切です。

テストの使用はコストも発生するので、好奇心以外のフィードバックの充実度など、バランスをみて決めていくとよいと思います。

・面接

面接の場合には、自社で言う「好奇心」の定義が、学生生活のどのような場面で発露しやすいかを考え、そうした場面で応募者がとっている行動がうかがえる質問をしていくことになります。

定義にもよりますが、最も力を入れている取り組みを聞く質問を投げ、学生が面接用に用意してきたエピソードを聞いたのでは、評価に有用な情報は得られないかもしれません。

もちろん、「あなたは、知的好奇心はありますか?」「私はわからないことがあると、答えがわかるまでは諦めない性格です」というようなやり取りをしても意味がありません。その場で受かりそうな回答を考えて答えている可能性が高いからです。

むしろ普段どのように学習をしているか、趣味や興味を持っていることやその理由などに話題を広げた際に、情報収集が可能なケースが多いと思います。それゆえ、面接時間は十分余裕を持つ必要があると思います。

そして収集できた事実情報から評価をすることになりますが、定義によっては応募者全員に「ある・なし」「優秀・普通・劣っている」といった評価を付けるのではなく、認められた場合のみ加点評価をするとしたほうが適切だと思います。

・行動観察

好奇心が具現化されたときの振る舞いを先に共有しておき、実際に応募者の行動を観察して評価をする手法は最も信頼性が高いと言えます。

ただし、好奇心の定義を満たす行動を観察するとなると、一般的に選考で行われている40~50分のグループワークはもちろん、数日間の短期インターンシップでも観察はなかなか難しいと思います。私が仕事で設計を依頼されたとしても、一筋縄ではいかないというのが実感です。

基本的には、自由度の高い活動の場が用意されていることや、観察時間が長いことが前提条件になります。そうしたことから考えると、1カ月程度期間があるようなインターンシップのような場であれば、観察は十分可能だと思います。

長期のインターンシップとなると、現実味がないと考える企業も多いかもしれません。ただ、ここ数年の採用活動の方向性は、早期から少数の可能性の高い応募者と、長期にわたって関係構築をするこことが主になりつつあります。今後はインターンシップ以外の場でも、好奇心を観察するすべを見つけることができるかもしれません。

私たちも、採用活動の質を向上させる好奇心を持ち続けることが大切ですね。

ではまた1カ月後にお会いしましょう。
今後ともよろしくお願いいたします。

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