社内における面接の合格基準を揃える方法とは?選ぶ/選考

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社内における面接の合格基準を揃える方法とは?


当社では人事の入れ替えがあり、今年は面接を初めて担当する社員もいます。
そのためか、面接者によって合格基準に差が出るように感じます。
こういった差を埋める良い方法はあるのでしょうか?

( 製造業/従業員規模 500~1000人未満/採用業務経験 1~3年 )

Q
合格基準が揃わない原因を特定して、適切な対処をしましょう

合格基準が面接者ごとに異なってしまう原因はいくつか考えられ、それにより適切な対処方法が変わってきます。

一般的には、以下のような原因が考えられます。

・考えられる原因
1.面接者に質問スキルがない
2.面接者に評価スキルがない
3.面接の設計が整っていない

1.と2.が原因と考えられる場合、最も適切な対処は面接者にトレーニングを実施することだと言えます。

不幸なことに、新卒採用の面接実施時期は、年度末の異動時期と重なっています。

そのためか、質問者の方と同じような状況がしばしば発生し、私も毎年この時期に面接者のトレーニングをよく依頼されます。

もちろんトレーニングを外注しなくとも、採用担当者もしくは現在適切に面接が行えている面接者が、質問と評価という2つの観点から新任の面接者にスキルの継承をすれば、合格基準は揃ってくるものと考えられます。

傾向としては、質問のスキルの継承が行われていても、応募者が返した言葉を自社の評価基準と照らして正しく評価するスキルを継承していないケースが多いと感じています。

ロールプレイングを行い練習しているというケースでも、質問の練習に徹してしまうことが多いので、意識的に評価の練習に重きを置くとよいでしょう。

さて、問題は3.が原因に絡んでいる場合です。

会社として、「なに」が「どう」であれば優秀と判断するのか、これを言語化して共有できる状態にしたものを「評価項目(なに)」と「評価基準(どう)」と呼びます。

評価項目と評価基準は、採用が小規模で面接者に入れ替わりがない企業ほど、暗黙知化している傾向があります。

きちんと言語化され、社員間で共有できる状態になっていなければ、当然新任の面接者を困らせることになります。

また、仮に言語化された評価項目と評価基準があったとしても、設計の質が低ければ、それもやはり評価のブレを招きます。

これに該当している場合には、面接官同士でいくら合格基準について話し合っても、評価はブレ続けることになります。

評価項目・評価基準がなかったり、あっても質が低かったりした場合の弊害はそれだけではありません。

基本的に、業務としての採用活動は毎年組織に知見が蓄積し、質が向上していくと考えられます。
毎年、明示的に評価項目と評価基準がブラッシュアップされるからです。

しかしながら評価基準が適切に設計されていない場合、そのようなブラッシュアップが機能しません。
つまり、新たな知見が蓄積されないということなります。

そのような環境では、採用担当者が代わった途端、それどころか毎年のように、評価の観点が変わったり、合格基準が変わったりします。

もっと残念な場合には、それらが変わっていることにすら気づかなかったりします。

そこで、原因が3.の面接の設計にも絡んでいると思われる場合は、早急に対策を講じることが必要だと考えます。

テーマが広いため、この欄で面接設計の整え方についてすべてを記すことができませんが、まずは筆者が過去に執筆したコラムの内容を参考にしていただければと思います。

●無駄になった面接官トレーニング
https://saiyou-knowhow.recruit.co.jp/column/130115

●面接者ごとに異なってしまう合格基準を揃えるには
https://saiyou-knowhow.recruit.co.jp/column/20160415

問題点が可視化され、解決への道筋が見えることを祈りますが、依然として不明点が残るようであれば、ぜひまた当欄でご相談いただけましたら幸いです。
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