適切な内定出しのタイミングとは?選ぶ/選考

Q

適切な内定出しのタイミングとは?


当社では、7月に選考を開始し、8月中旬から下旬にかけて内定出しという流れで選考を進めていましたが、9月下旬に内定辞退が相次ぎました。

原因は複数あると思いますが、内定を早期に出したことで、当社よりも後に内定を出した大手企業や人気企業に内定者が流れてしまった可能性があるのではないかと考えています。

内定出しの適切なタイミングはあるのでしょうか教えてください。

( サービス業/従業員規模 300~500人未満/採用業務経験 1年未満 )

Q
競合他社や内定者との関係性によって、内定出しの時期と施策を検討しましょう!

●競合他社との関係と内定出しの考え方

内定出しのタイミングの適切さは、自社と競合他社が採用ブランドにおいてどのような位置関係にあるかが影響します。

例えば学生が、採用ブランドが類似する複数の企業を応募していた場合、内定をもらえた順番が進路先の決定に影響すると考えられます。学生が「A社、B社、C社のどこかに入社したい」といった考え方をしている場合には、それらの企業のいずれかから内定をもらった時点で、就職活動に満足してしまう可能性があるからです。

したがって、「自社の競合は○○社だ」と明確であり、その○○社と自社が採用ブランドも類似している場合には、その企業より早く内定を出すことは一定の効果があると考えられます。

一方、大手・人気企業など「採用ブランドが高い企業」対「採用ブランドが低い企業」という構図において、もしも自社が弱者である場合、内定出しのタイミングのみで成果をコントロールすることは難しいといえます。
その場合には単に時期を工夫するだけでなく、何らかの戦略と抱き合わせて考える必要があります。

採用ブランドの高い企業よりも先に内定出しをおこなう場合は、応募者・内定者は順調に増やすことができますが、辞退者も多くなる可能性があることを事前に想定しておく必要があるでしょう。そして、歩留まりを低く設定したり、内定者を確保した後に関係構築に注力して辞退を防いだりといったアクションが必要になります。

翻って、採用ブランドの高い企業よりも後に内定出しをおこなう場合は、応募者の学生はそれらの企業の内定を獲得できなかった学生などに限られてしまう可能性がありますが、辞退者は少ないと想定できます。こうした場合には、そもそも応募者数が不足しないように入口を多く設ける必要があります。

内定出し時期の検討は、これら内定者との関係構築や選考プロセスの入口拡大について、自社としてどちらに注力するべきかという観点でおこなってもよいと思います。

また私が以前執筆したコラムでも、採用ブランドが高い企業より後から内定を出す企業と先に内定を出す企業に分けて、それぞれのとるべき戦略を紹介しています。こちらは過去の採用スケジュールをベースにしているものではありますが、考え方は今のスケジュールでも有効ですので、ぜひ参考になさってください。
参考:「企業ポジション別の3つの戦略


●スケジュールと内定出しに対する考え方

次に、採用活動のスケジュールと内定出しに対する考え方について触れておきたいと思います。
3月1日に会社説明会など広報活動開始、6月1日に選考活動開始する場合、
採用活動は大きく以下3つの時間に分かれます。

1. 6月以前
2. 6月~7月
3. 8月以降


各時期によって、内定を出した場合の考え方や対応が変わります。


1. 6月以前

6月以前に内定出しをおこなう場合、既に自社と関係構築ができているか否かによって考え方が異なります。

例えば、長期のインターンシップなどにより既に関係構築ができている場合には入社確度の高い内定出しが可能ですが、通常の採用広報から内定を出す場合にはそうはいきません。内定者を長期間決してなおざりにせず、よい関係を維持し続けるための施策が必須でしょう。

2. 6月~7月

採用活動は6月に集中して実施されます。

他社とのバッティングが多く発生しますので、選考途中の辞退が増加することや、一人の学生に他社からも重複して内定が出ることを想定しておくべきでしょう。

3. 8月以降

7月のテスト時期を挟み、内定者を確保できていない企業と内定を持たない学生が、8月以降に活動を再開します。

学生の就職活動も成熟してくる頃ですので、この時期に出した内定に対する辞退は小規模にとどめることができます。そして採用活動(就職活動)は、8月を終えると一気に終息へ向かいます。


以上、内定出しについて時期ごとに想定するべきポイントをご紹介しました。

競合他社との立ち位置や内定者との関係構築の施策をふまえて、今年の内定出しのタイミングを検討していただければと思います。
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