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2016/04/15

面接者ごと異なってしまう合格基準を揃えるには―面接者を巻き込み、評価の質も向上できる施策とは―

小宮 健実(こみや・たけみ)
1993年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。 人事にて採用チームリーダーを務めるかたわら、社外においても採用理論・採用手法について多くの講演を行う。さらに大学をはじめとした教育機関の講師としても活躍。2005年首都大学東京チーフ学修カウンセラーに転身。大学生のキャリア形成を支援する一方で、企業人事担当者向け採用戦略講座の講師を継続するなど多方面で活躍。2008年3月首都大学東京を退職し、同年4月「採用と育成研究社」を設立、企業と大学双方に身を置いた経験を生かし、企業の採用活動・社員育成に関するコンサルティングを実施。現在も多数のプロジェクトを手掛けている。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

イントロダクション

皆さん、こんにちは。採用・育成コンサルタントの小宮健実です。

この時期は各社、面接の準備が進んでいることと思います。

最近では 「面接者にお任せの面接」 から抜け出し、 「設計された面接」 、つまり応募者に対する評価項目や評価基準、さらにそのための質問手続きを人事側であらかじめ設計しておく面接を実施する企業が多くなりました。

設計された面接を行うということは、評価の客観性が高まる、つまり社内の誰もが同じ応募者には同じ評価ができることを意味するはずですが、実は依然として面接者により合格基準に差が出てしまうという相談を多くいただきます。

面接者ごとに合格基準に差が出てしまうのはある程度仕方のないことですが、人事が定めた評価基準を面接者が誤解してしまったり、面接をおこなうのが初めての社員がいたりすると、結果として合格基準が個々人により大きく差が出てしまうといった問題が生じることがあります。

またいったんそのような状況になると、自社の評価基準を再度知らしめるだけでは問題が解決しないことが多いようです。

そのような状況を解消するために私は、面接者を集めて2~3時間のワークショップをおこなうことをおすすめしています。ワークショップを開催することで、評価基準を言葉で理解するだけでなく、合格基準についていわば 「肌感覚」 として揃えることが可能だからです。

今回のコラムでは、このワークショップの内容について紹介していきたいと思います。

 

「抽象的な言葉」 対 「具体的な言葉」

先ほど、自社の評価基準を再度知らしめても面接者間で合格基準がそろわなくなることがあるとお伝えしました。

つまりそれは、面接者が自社の評価基準を理解していないからではなく (そこでつまずいている場合もありますが) 、自社の評価基準と応募者の語るエピソードを比べる際の合格基準に差が生じているといえます。

自社の評価基準と応募者のエピソードを比べる際になにが難しいのかというと、評価基準は (いろいろなケースに対応すべく) 抽象的な表現であるのに対し、応募者が話すエピソードは個別具体的だということです。抽象的な言葉と具体的な言葉を比べる過程で、面接者ごとの差が発生しているのです (※下図を参照)。

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そこでワークショップでは、自社の評価基準 (抽象的な言葉) が具体的なエピソードになった時にはどのようなものになるか、その肌感覚をつかむことを目的とします。

例えば、図のように 「責任感」 という評価項目があり、 「率先して行動を起こし、最後までやり抜いた」 経験があれば、高い評価をしようという基準を持っていたとします。

そして、この基準は面接者に理解されているにもかかわらず、実際に応募者から具体的なエピソードを聞き評価をおこなうと、結果に差異が出てしまうという状態があったとします。

このような時ワークショップでは、以下の順序で抽象的な評価基準と具体的な応募者のエピソードをつなげる練習をします。

● 「評価基準共有ワークショップ」 の進め方

(1) 若手社員の行動で 「責任感」 が発揮されている場面を想起して、面接者の間で共有します。

ここではなるべく具体的に、実在の社員の行動を基に情報を共有します。「○○さんがこの前、……なことをしたでしょう? あれはまさしく、責任感のある行動だよね」 といった具合です。

例はなるべく多く共有し、 「それもまさしくそうだ」 「それは責任感があるとまではいわないのではないか。当然の行動だよ」 といった具合に自由に意見交換をしていきます。

いきなり学生の話から始めることはせず、身近な社員の行動を基に話し合うことにより、全員が議論にスムーズに入ることができます。また、自社の仕事場面におけるリアルな話を共有することで、抽象的な 「責任感」 という言葉や、 「率先して行動を起こし、最後までやり抜く」 といった表現がどの程度の難易度を求めているのか、その肌感覚を全員で共有することができます。

(2) 学生が面接で話すエピソードで 「責任感」 が発揮されているとはどのような話になるのか、意見交換をします。

この時には内定者や新入社員が過去の面接時に話したエピソード (面接記録などをもとに) を持ち寄り、 (1) の場合と同様、 「まさしくそういうエピソードは責任感がある」 「それはちょっと簡単すぎるのではないか」 といった具合に意見交換をしていきます。

(3) 最後の演習として、人事が用意した架空のエピソードに対して面接者全員が評価をおこない、再度意見交換をします (必須ではありませんが、実施することをおすすめします)。

ここまでおこなうと、今まで評価基準は人事から与えられるものというスタンスだった面接者からも、各自主体的に評価に関するコメントを引き出すことができます。

このように面接者一人ひとりを評価基準設計に巻き込んでいくこと自体、採用活動を成功させることに大きな影響があります。

ワークショップ実施における注意事項

まず1つ目は、大前提として、自社の評価項目や合格基準が整っていることです。

先ほどの例でいうと、 「率先して行動を起こし、最後までやり抜いた経験があれば、責任感について高い評価をしよう」 という基準がそれにあたります。

合格としたい個別具体的な学生のエピソードを集め、まとめて抽象化したら自社の評価項目や合格基準を体現していることになります。この関係性をしっかりと意識していなければ、 判断軸が個人の認識や感覚にゆだねられてしまうことになります。

判断軸を個人にゆだねるというのも一つの戦略ではありますが、それでは検証や改善プロセスを実行することができません。毎年場当たり的な採用活動をおこなうことになってしまい、今日の人事の仕事の進め方には合っていないと思います。

2つ目は、面接者トレーニングとは別のアクションとして考えるべきだということです。

今回紹介したワークは、面接者トレーニングのコンテンツに照らし合わせると 「評価スキル」 の向上に寄与します。面接者の必須スキルとしてその他に 「質問スキル」 がありますし、してはいけない質問などの基本的な知識も求められます。

ワークショップとトレーニングを一緒に行うことは可能ですが、ワークショップの実施だけでは十分ではありません。同じく、面接者トレーニングの実施だけでも十分ではありません。

3つ目は、ワークショップはインタラクティブな形式で行うことです。

逆にいうと、人事から一方的に情報提供するような形式で実施すべきではありません。理由は、先ほども触れたとおり面接者全員にディスカッションに参加してもらうことで、面接者を主体的かつ効果的に、評価基準設計および認識の作業に巻き込むことができるからです。

また、ディスカッションの途中で出てくる話題が面接の設計にフィードバックされることもよくあります。

例えば 「課題解決力」 の評価基準が面接者間で差異が出てしまいがちだった場合。ディスカッションにおいて、ある社員から 「社内でみんながよくいうブレークスルーのことだよね」 との発言があったおかげで他の社員もその評価基準のイメージや自社で求められている難易度がすぐにわかったため、 「課題解決力」 という名称を 「ブレークスルー力」 に変えた、といった具合です。


さて、ここまでワークショップの内容と注意事項についてお話してきました。
各社の事情により、面接者を集めてワークショップを実施することは簡単ではないと感じる方も多いと思います。

しかし最も避けるべきは、評価基準の差異をそのまま放置しておくことです。

本来合格になるはずの人が不合格になったり、本来不合格になるはずの人が合格になったりする悪影響は、表面化せずとも未来に計り知れないインパクトをもたらすことを理解しなくてはいけません。

一方で、2~3時間のワークショップを行うだけで、選考に向かう一体感が醸成でき、評価の質も高めることができるのです。

実施してみれば、掛けた工数以上の効果を実感することができるでしょう。ぜひ検討してみてください。

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