他社との差別化に苦しんでいます。何を学生にアピールすればよいのでしょうか?集める/広報する

Q

他社との差別化に苦しんでいます。差別化した上で訴求ポイントが見つからない場合、何を学生にアピールすればよいのでしょうか?


都内にある従業員150名ほどのIT系企業の人事担当です。
採用活動にあたり、他社との違いを明確に打ち出せておらず、何をどうアピールしたら学生を引き付けることができるのか、アドバイスを頂きたいです。

主な募集職種はシステムエンジニアですが、特に秀でた独自サービスではありません。給与や教育、福利厚生面といった労働環境についても、同業他社とあまり変わらない状況です。

HPやナビサイトでは、「社内の雰囲気の良さ」や「アットホームさ」などを無理矢理アピールしていますが、これで本当にいいのかどうか分からず不安です。

どうか助言をいただけましたら幸いです。

( IT関連企業/従業員規模 100~300人未満/採用業務経験 3~5年 )

Q
他社と差別化なんてできませんし、必要ありません。

まじめに採用に取り組んでおられる方が、採用広報で陥りがちな罠が、この「他社との差別化」「他社とは違う自社の魅力の掘り起こし」をしなければならないという考えです。

まず、他社と明確に差別化できる実状がないのであれば、プロモーション(学生集客のための広報)上で、さも差別化できるポイントがあるように見せることには無理がありますし、極端に言えば嘘をつくことになります。

また、初期の広報において、他社との微少な「差」を取り上げて訴求したとしても、効果は薄いと思われます。
会社を見る目が無い学生たちは、そこまで微少な会社間の「差」に敏感ではありません。

そもそも、学生が他社との差別化ポイントがある「特別な」会社に入社したいと思っている、ということ自体が疑問です。就職は結婚と似ているとよく言われますが、結婚相手を見つけるときに「特別であること」「変わっていること」はそんなに重要でしょうか。
好きになったら「あばたもえくぼ」という方が真実だと思います。
自分に合っている、好きだと思うことができれば、それが平凡なものでも、どこにでもあるものでも、そんなことは関係ありません。

以上のようなことから、私は「差別化」にむやみにこだわる必要はないと考えます。

では、どうすればよいかといえば、「差別化」されたコンテンツでプロモーションをすることに注力するのではなく、
「一般的に学生が欲するもの」を提供するようにすればよいのです。

例えば、「面接対策講座」などを提供することで、エントリーはするが説明会や選考には来てくれなかった層が、重い腰を上げてやって来てくれたりします。
この他にも、自社の宣伝ではなく、自社を含む「業界」全体についての説明を行ったり、自社への勧誘ではなく、仕事/会社の選び方や今後の労働市場の行方、というような「キャリア」に関するコンテンツを実施したりすれば、より多くの学生に訴求できるかもしれません。

さらに言えば、学生に受ける最高のコンテンツは、焼肉などの「食事」です (冗談に聞こえるかもしれませんが、まじめです。かなり実効性の高い方法です)。
体育会系の学生に、「焼肉屋さんで懇親会をするので来ないか」と誘えば、それこそ数十名単位でやってきてくれることもあります。

「そんなひきつけ方で本当にいいのか」「そんな理由で来た人はすぐに去っていくのでは」 と言う方もいますが、やり方次第で、そんなことはありません。

自社のことを目当てに来ていない人に、いきなり口説く気満々で対応すれば、引かれるのがオチでしょう。
しかし、自社への志望度が(今はまだ)低いことをきちんと認識して対応し、自然なコミュニケーションを心がければ、「仲良くなる」「信頼を得る」ことができます。
そうすれば、その「リスペクトできる人」がいるその会社はどんなところなのだろうと、学生も興味、関心を持つものです。

そこまで至れば、無理矢理つくり出した他社との「差別化」など必要ありません。
何の縁か「出会ってしまった」、そして「関心を持ってしまった」こと自体が、ある意味、最大の差別化です。
そしてそれからは、自社のよいところを、ふつうに伝えればよいのです。

よくある「訴求ポイント」だったとしても、学生たちは、自分にとって、この会社や仕事は 「自分にとってオンリーワンの会社」だと思ってくれるでしょう。
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