外国人留学生を受け入れるにあたり留意すべき点はありますか?集める/広報する

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外国人留学生を受け入れるにあたり留意すべき点はありますか?


業界内で機運が高まっていることもあり、当社でも外国人留学生の採用を検討しています。

現在、外国人留学生の採用を検討していることはナビサイトに掲載していますが、他にやるべきことはありますでしょうか。外国人留学生の受け入れに際して留意すべきことがあれば、お教えいただきたいです。

( 専門商社/従業員規模 300~500人未満/採用業務経験 1年未満 )

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「目的の明確化」 と、「全社的サポート」 が重要です

■まずは「なぜ外国人か」を考える

外国人留学生を採用するためには、まず、その学生の在留資格の変更が認められる必要があります。さまざまな在留資格がありますが、新卒採用の場合、多くは 「技術・人文知識・国際業務」で申請することになるでしょう。

出所: 法務省 日本での活動内容に応じた資料 【在留資格認定証明書交付申請】 技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」 の在留資格の基本的な考え方としては、 「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とする活動又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を必要とする活動でなければいけません」 とされています。

出所: 法務省 「技術・人文知識・国際業務」 の在留資格の明確化等について

これらをふまえた上で、採用する外国人留学生にどんな業務を担当してもらうのか、キャリアをどう築いてもらうのかまであらかじめ考えておく必要があります。これは法律的観点のみならず、採用選考時のコミュニケーションにおいて、外国人留学生からの質問へ明確に答えるためにも重要です。


■実際の採用活動と受け入れに際して

まず、どの程度の日本語能力が必要となるのかを明らかにする必要があります。日常会話以上の日本語能力を必要とする企業もあるでしょう。それを日本語能力検定2級取得者以上とするのかしないのかなど、具体的な資格とも関連づけて基準を設定しておくことが大切です。

また、職種によっては日本語がほとんど必要ない業務もあると思います。その場合でも他の社員とのコミュニケーションは日々発生すると思われますので、別途配慮が必要となるでしょう。

受け入れに際しては、事前に社内外で広報し、外国人社員を採用することのコンセンサスを図ることをおすすめします。なぜ外国人を雇用するのかを社内外に公表することで、外国人留学生自身の応募理由が明確になり、彼ら彼女らの志望動機も強いものとなります。こういった観点から、会社説明会や面接なども、日本人と外国人を区別せずに実施するべきでしょう。

入社後についても気遣いが必要です。その外国人社員の在留期間の長短にもよりますが、業務だけでなく、日本での生活を会社としてもサポートすることを忘れてはなりません。例えばゴミを分別して捨てるという概念も国によって異なりますので、指導してあげられるとよいでしょう。

プライベートも含めて受け入れることを考えると、業務をサポートする社員以外に、日常生活をサポートする社員もいることが望ましいと思います。社員寮等のルームメイトがその役割を果たせればよいのかもしれません。また、直属の同僚や上司にも研修を受けてもらうなどして、理解を深めてもらうことが大切です。

さらに、自社で定められている目標管理や評価制度を理解してもらうために、定期的な面談も必要です。特に、「なぜ自分の目標がこれなのか」 「なぜ自分の評価はこうなのか」といった点に関して、お互いが納得できる状態にすることが大切です。外国人社員の早期退職の理由を聞いていると、その多くは、コミュニケーションをもっと丁寧におこなうことによって避けられたのではないかと思われることが多いものです。


以上のように、外国人留学生の採用の際には、外国人社員を組織として、また全社員で育てていく仕組みと気構えが必要であるといえます。やや煩雑に思われるかもしれませんが、この取り組みは、外国人社員のみならず日本人社員にもさまざまな意味でよい影響を与えるものだと思いますので、ぜひ丁寧に検討してみてください。
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