人事と現場で若手育成の意識にギャップがあり、ポジティブな採用活動ができません準備する/採用計画

Q

人事と現場で若手育成の意識にギャップがあり、ポジティブな採用活動ができません。自身も辞めたい気持ちを抱えており、気持ちの切り替え方や思考の転換方法を教えてください。


当社の育休・産休取得率はかなり高いのですが、実際は女性が活躍できる場所が多くはありません。
そのため、女子学生からの応募があっても申し訳ない気持ちになってしまいます。

たとえ採用したかった学生を採用できたとしても、配属先の部署でつぶされてしまうこともしばしばあり、将来ある若手社員をつぶしてしまっている現状に耐えられません。

もちろん、採用活動の改善提案もしていますが、なかなか動くことはありません。

別の部署からは質のよい学生を確保するようにと言われますが、役員が内定を決めた以上、本来は各部門が責任をもって教育すべきだと思うのです。それが全社的にできていないこの会社で採用活動を行わなければならない現状が苦しいです。

そもそも、私自身が辞めたい気持ちを抱えている以上、採用を担当するべきではないとも思います。

こういった状況下における気持ちの切り替え方や割り切り方を教えてください。また、将来を左右する重要な業務であることを人事担当全員が理解した上で採用活動をしていくには、どうしたらよいのでしょうか。

( 製造業/従業員規模 500~1000人未満/採用業務経験 3~5年 )

Q
周囲を変えるか、それともキャリアチェンジか。
どちらを選ぶにせよ、その前にすべきことは一つです。


相談者さまは、責任感がとても強い方なのですね。行き場のない思いが伝わってきました。

今回のお悩みも、自分が採用活動で関わった人たちが入社後も活き活きと働いていてほしいと思っているからこそのものだと思います。

相談者さまの企業のように、採用と入社後の育成が効果的に接続していない企業は珍しくありません。

人事において最も憂慮すべきことの一つだと思いますが、採用と入社後の育成は別のものという考え方は、残念ながら多くの企業で一般的であるともいえます。

そのような企業では、鶏と卵の問題のように、何か問題があればお互いに 「採用が悪い」 「現場が悪い」 と考えがちです。

この問題を解消するには、マネジメントの視点で一貫した採用と育成のスキームを実現することが必要です。しかし、そのように企業を導くのは、採用担当者という立場からは現実的でないかもしれません。

すると、選択肢は自ずと限られます。


まずは一旦、 「自分が変えられないところに固執するのをやめる」 ことだと思います。

これは 「割り切る」 ということをすすめているのではありません。 割り切って仕事をするようなことは、むしろ最も避けるべき選択です。

私がいいたいのは、 「自分ができることに対し、質を高めることに集中する」 ということです。

そのために、仕事の優先順位を、ギャップアプローチではなくポジティブアプローチによって決めていくことをおすすめします。

ギャップアプローチとは、理想と現実のギャップに注目し、その 「ギャップを埋めよう」 と努めるアプローチです。翻ってポジティブアプローチとは、今できている、うまくいっていることを 「もっとうまくやろう」 と考えて実行していくアプローチです。

ギャップアプローチでは、ギャップ解消のカギが自分の手の届かないところにある場合も少なくありません。特に、こちらの意図に合わせて他者を変えるというのは最も難しいことです。相談者の方の理想は、周辺の人や組織を大きく巻き込みます。今の時点で手を尽くしても、難易度は相当高いと思います。

一方、ポジティブアプローチの主体はいつも自分です。あなたが自分で変えられるところを探して実行すればよいのです。自分のできる範囲内の物事だけでも、さまざまな観点で、さらによい成果をあげられるはずです。

まず、 「明らかによくなったね」 と周囲の人たちに認めてもらえるくらい、あなたができる部分の仕事の質を高め、輝かせてください。先行きの長い話に幻滅されるかもしれませんが、すべての勝負はそれからだと私は思います。


それが実現できた時あなたは、きっと自信にあふれているでしょう。

すると、周囲の人はあなたの意見に自然と耳を傾けるようになると思います。大きな変化を促すための協力者も自ずと現れるでしょう。

もちろんその時もあなたの意見が通らない可能性はあります。最終手段であるキャリアチェンジは、その時に考えればよいと思います。

もしそうなったとしても、仕事をどう考えどのように改善したかという実績と、そのエピソードを熱く語れることは、必ず役に立つと思います。

したがって、まずは前向きに、ご自身の仕事を磨いてみてはいかがでしょうか。 応援しております!
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