新卒採用マーケットが流動的。地方の企業はどうすれば?準備する/採用計画

Q

新卒採用のマーケットが近年非常に流動的です。知名度が高くない地方の企業はどうやって戦えばよいでしょうか?


フードサービスを事業とする中小企業の人事採用を担当しております。

当社は、本社が都市部ではなく、店舗もすべて郊外に展開しています。したがって、企業の認知度は決して高くなく、例年、会社説明会を開催しても地元で働きたいという学生が少数集まる程度です。

こうした状況の中、近年の新卒採用はマーケットが非常に流動的です。大手企業を中心に、各社がインターンシップといった早期での施策に力を入れていくと思いますので、さらに不安感が増しています。

当社のような企業は、どこに採用の焦点を絞っていけばよいのでしょうか。

( フードサービス業/従業員規模 100~300人未満/採用業務経験 3~5年 )

Q
来てもらうのではなく、採りにいくことを決断しましょう。

確かに、セミナー開催やエントリーなどで採用の母集団を作り、そこから選考を行うというプロセスが現在では最も浸透しているアプローチです。しかし、戦い方はひとつではありません。

このアプローチの場合、最初の接点は「来てもらうのを待つ」ことなので、人を集める力=知名度が重要な要因になることは否めません。

そこで、 知名度のない企業は「来てもらうのを待つ」戦略だけではなく、併用して「採りにいく」戦略を持つべき だと思います。

「採りにいく」戦略では、 最初の接点をどのように作るかが重要 です。
例えば、「採用実績がある」という事実をもとに行えば、その場において知名度の低さは大きな障害ではなくなるでしょう。

オーソドックスな手法だと、採用実績のある大学のゼミや課外活動の団体(体育会やサークル、ボランティア)にこちらから連絡。そして、OB・OGと共に企業紹介に行き、そこから個人単位で関係構築を始めるなどが考えられます。

そのようなきっかけから、数年間学生を採用することができれば、チャネルはその実績によって強化され、そのゼミや団体とはお互い信頼関係がある、という状態が構築できます。

このように、 どの(どこにいる)学生をターゲットにして、その後どのように関係性を維持していくか考えることを、チャネルの設定といいます。

中小企業で強い採用を実現している企業は、独自のチャネルを構築しています。

例えば、ある企業では採用数の3割程度をアルバイトから登用しています。新卒採用の仕組みとして優秀なアルバイトには早いうちから働きかけ、意図的に会社のビジョンや将来構想を話して関係構築に努めています。

またある企業では、地元の学校から不景気の時にも毎年定期的に採用を続けたことで信頼を獲得し、今では推薦という形で毎年その学校で成績優秀な学生を獲得できるようになっています。

チャネルを複数持つことで、採用活動のリスクは分散され安定します。
すぐに結果がでない場合もありますが、場合によっては知名度よりも確実な武器になるでしょう。
マーケットの変動が大きいからこそ、各企業にとって行動を起こすきっかけの年になるのではないでしょうか。

また、対学生においては、 改めて地方の企業ならではの良さをきちんと打ち出す必要 もあると思います。
時代的にも地方で働くことは決してネガティブな要素ではないからです。

最近では衣料品店ユニクロを運営するファーストリテイリングが、転勤がなく時短勤務が可能な地域正社員の選考会を北海道で開催して話題になりました。

ファーストリテイリングは知名度の高い企業ですので、このケースが該当するかわかりませんが、私は「地方で働く事」を前面に打ち出す場合に重要なことは、ただ「転勤がない」というような単語を伝えるのではなく、そこで起こる仕事を中心とした生活全体の様子を、ストーリーとして伝えることだと思います。

地方には、都心では味わえない豊かなストーリーが溢れています。
学生がそのストーリーに共感する可能性は決して低くありません。むしろ地方にある事で、ポジティブなストーリーをつくることも可能だと思います。
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