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求める人材像:みずみずしい人材像を準備する/採用計画
監修:曽和利光(組織人事コンサルタント)
単なる要件の羅列ではなく、要件が有機的につながった“みずみずしい”求める人材像でなければ、採用活動の役には立たない。自社の「求める人材」は、いったい、今、どこで、何をしているのか。こういう場合には、どんな対応をする人なのか。自社に対してどんなイメージを持っており、どんな情報を提供すれば、どんなことを感じるのか。人事関係者、面接者などの間で、具体的なイメージのすり合わせを行い、「人材要件」を表現する言葉の意味するところ、ニュアンスをすり合わせていくことに意味がある。
多くの企業では、「抽象的な要素の列挙」までで、「求める人材像」の設計を終えてしまっています。『当社の求める人材像は、当事者意識が強く、地頭(じあたま)がよく、コミュニケーション能力の高い方です』。このような抽象的な要素を列挙しただけでは、せっかく労力をかけてつくった「求める人材像」が、まったく役に立たないものになってしまいます。
ひとつの理由は、「人を表現する言葉」は日常的に用いられているために、どのようにでも解釈できる「たくさんの意味」を含んでしまっていることが多いということです。言葉の意味を一義的に規定したい「求める人材像」においては、解釈の余地があることは、よいことではありません。同じ言葉を使っても、面接者同士で想定している内容が違ってしまってはいけないのです。
もうひとつの理由は、「バラバラの要素の列挙から、統一された人材像をイメージすることは難しい」ということです。
要件が有機的につながった「みずみずしい人材像」をイメージできなければ、実際の候補者を目の前にして、選考判断をするときの比較対象(ベンチマーク)とすることはできません。生身の人間と抽象的な概念は、比べることができません。面接者は「この人はあの人と似ているな」「この人はあの人よりもすごいな」と、何らかの具体的なイメージと、目の前の候補者を比較してしまうことが多いのではないでしょうか。
たとえば、「リーダーシップのある人」といっても、織田信長と徳川家康では、大きく印象が異なります。「みずみずしい人材像」のために、マーケティングの世界において商品開発などで行われているようなペルソナ(名前や特性、趣味、ライフスタイルに至るまでプロフィールを細かく定めた架空の顧客の人材像)のようなものをつくってみるとよいでしょう。
自社の「求める人材」は、いったい、今、どこで、何をしているのか。こういう場合には、どんな対応をする人なのか。自社に対してどんなイメージを持っており、どんな情報を提供すると、どんなことを感じるのか。人事関係者、面接者などの間で、こうした具体的なイメージのすり合わせを行うことで、「人材要件」を表現する言葉の意味するところ・ニュアンスがすり合っていくのです。そこまでしてようやく、選考基準の目線がそろい、適切な採用広報コンテンツが作成できるようになります。
もちろん、具体的なひとりの人材像をつくるということは、「その人とぴったり同じ人を求める」という意味ではありません。ペルソナに引きずられ過ぎてもいけません。ペルソナ自体というより、それをつくり出す過程で、関係者の間で、頭の中にある具体的なイメージをすり合わせていくことに意味があるのです。
「求める人材像」の策定プロセスをうまく回せるようになるためには、人に関する表現、語彙、性格心理学のコンセプトなどを学び、たくさんの社員や候補者に会って、自分の頭の中にベンチマークとなるような人材データベースを蓄えてください。