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組織人事戦略の中の採用戦略準備する/採用計画
監修:曽和利光(組織人事コンサルタント)
人材採用は、育成や配置、評価、報酬、代謝などと並んで、企業の組織人事における一つの機能です。採用戦略を立てる際には、他の組織人事戦略をきちんと把握し、それらとの「一貫性」を持たせることが重要です。一貫性がなければ、それぞれの戦略の効果が打ち消され、目的が達成できないことになってしまいます。
新卒採用を行うにあたっては、どんな人材をどのように採用するかという戦略を立てる必要があります。その際に意識しておかなければならないのは、採用戦略が企業の組織人事戦略における一つのパートであるということです。
企業の人事には、採用だけでなく、育成や配置、評価、報酬、代謝といったさまざまな機能があり、それぞれに戦略があります。採用戦略を立てる際には、これらの他の組織人事戦略との間に「一貫性」を持たせるということが非常に重要です。
たとえば、採用においては中途よりも新卒の割合を高めているのにもかかわらず、人材育成にあまりコストやパワーをかけない、というのは一貫性のない戦略と言わざるを得ません。
新卒採用というのは、まだ仕事の経験や実績のない、いわば「原石」のような人材を採用する手法ですので、その原石を磨いて輝かせるためには、一定のコストをかけて育成するということが必要になります。もし育成にコストをかけたくない、あるいはかけられないのであれば、中途採用によって即戦力を獲得するほうが、人事戦略全体としての一貫性があるということになるでしょう。
この他にも、「採用においては、スキルや経験よりもパーソナリティ(人物面)を重視した選考を行っているにもかかわらず、人事配置の際にはスキルしかチェックしていない」といったことや、「大器晩成型の人材を多く採用していながら、入社後は短期的な成果で評価や報酬が上下する」といったことは、人事戦略に一貫性がない例と言えます。
このように、組織人事における各機能の戦略に一貫性がないと、それぞれの効果を打ち消し合うことになってしまい、組織人事戦略全体として有効なものになりません。採用の戦略を立てる際には、他のすべての組織人事機能の戦略を視野に入れておくことが重要です。