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2019/03/20

採用難企業の最後の手段「狙いを絞り込め!」―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション

こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。先般リクルートキャリアの調査で2019年春入社の新卒採用で、計画数を充足できた企業は47.0%と半数以下だったとの発表がありました。まさに「採用難時代」継続中、という数字です。

興味深かったのは、充足できた会社とできなかった会社で差がついたのが、「人事担当部署以外で2019年卒の新卒採用活動に携わる人数」です。従業員規模5000人以上の企業に限ると、充足企業は平均68.8人が関わったのに対し、未充足企業は24.8人ということでした。採用にかけられる「マンパワー」が採用成功に大きく影響しているのではないか、ということが推測されます。

しかし、では、解決策が「マンパワーをかけましょう!」では、「それができたらとっくにかけてるよ!」と叱られてしまうことでしょう。採用手法が企業側から積極的にアプローチする攻めの「スカウト型採用」にシフトしている状況においては、マンパワーが成否を分ける重要なポイントであることはその通りだと思います。しかし、事業も忙しいから人が欲しいわけで、事業を差し置いて採用にパワーを割くわけにもいかないというのが多くの会社の実情でしょう。

さて、そういう会社はもう諦めるしかないのでしょうか。そんなことはありません。学生への人気や認知度もなければ、お金やマンパワーなどのコストもかけられない会社でも、必ずできる最後の手段があります。
それは「ターゲティング」を工夫することです。この手段しかないと言ってもよいかもしれません。持てるリソースが少なければ、投入するターゲットを最も効果的なところに絞ることで最大のリターンを得るということです。狙いを絞り込む、ということです。

「ターゲティング」をもう少し具体的に言えば、まず「そもそもどんな人を探しにいくのか」という採用目標におけるターゲティング、次に「見つけた候補者の誰に口説きパワーを使うのか」というフォローパワーのターゲティングと2つあります。

今回はこの2つの観点において採用力アップのため工夫すべきポイントを挙げてみます。

 

ブルーオーシャンを狙う

●採用力が上がるターゲティング(その1)採用目標設定

採用目標の設定の仕方だけで採用力を上げることも可能です。それは、「ブルーオーシャンを狙う」ということです。多くの企業が一斉に狙うゾーンに同じように網がけをしていては、当然ながら競争も激しく、採用成功はおぼつきません。そうではなく、できる限り、あまり他社が狙わない層をあえて狙うのです。

最近のケースで多いのは「既卒者」の採用です。これまでは卒業してしまえば新卒採用の受験をする資格を失うので留年する学生が増えるという奇妙なことがまかりとおっていたわけですが、先の調査では、40.5%が「大学・大学院卒業後3年以内 の既卒者の採用」を採用難対策として実施しようと検討しているということでした。
NPO法人キャリア解放区が実施している「就活アウトロー採用」なども、ふつうの就職活動にあぶれた、間に合わなかった、もしくは参加しなかった既卒の学生を対象に企業とのマッチングセミナーを企画していますが、これまで数百名がこちらを通じて就職を決めたそうです。

他にもブルーオーシャン(と言っても、意識の高い企業の方はすでにどんどんアプローチしていますが)となっているのは「地方」の採用です。地方とは、大都市圏以外という意味でもありますし、大都市圏の郊外(東京23区に対する八王子や、大阪に対する京都(京都が郊外と言うと怒られますが〈ちなみに私は京都市民ですが…〉、関西採用をする企業は多くが梅田でしか採用活動を行いませんので…)という意味でもあります。
いずれも共通するのは、大都市圏と比べて意外に学生はいるのに企業が説明会や選考会を行わないということです。ある恵比寿にあるWEBサービスの会社は、東京でエンジニア採用があまりに厳しいので、すべて関西で採用しているで伺ったことがありますが、極めて戦略的だと思います。

もう一つ、効果的なブルーオーシャンは「大手落ち組」です。6月の選考解禁後、2週間ほどすれば続々と大手しか受けていない優秀層で何故か初期選考で落ちてしまった学生がどんどん出てきます。ここは狙い目です。「大手と言えども、落ちた人なんて」と思うかもしれませんが、大手の基準は高いですから落ちても十分優秀とも言えますし、大勢の受験者がいる大手の初期選考はざっくりしていることも多いので、優秀層がこぼれ落ちていることも現実にはあります。こういうところを狙い定めていけば、結果、効率は上がるでしょう。

 

志望度が低い人に手間をかける

●採用力が上がるターゲティング(その2)フォローパワー配分

ブルーオーシャンから半ば無競争で見つけた優秀で自社にフィットしている学生を最終的に入社まで導くためには、フォローパワーの配分が必要です。学生を十把一絡げに同じようなやり方で、同じようなパワーをかけていては、これまたリソースがいくらあっても足りません。ですから「口説くのにパワーをかけるべき人」「そこまでかけない人」を弁別することが重要です。

多くの担当者が「優秀者にパワーをかける」となりがちなのですが、そうではありません。優秀な人でも自社に対する志望度が高いのであれば、(けして軽く扱えということではないのですが)あまり手をかけずに入社まで導くことができます。このように、まず「志望度」をチェックしましょう。ここで注意すべきなのは、これまでよくあった「志望度」でジャッジせよ、「志望度」が低い人を捨てろということではありません。むしろ逆です。「志望度」が高い人は簡素なフォローパターンに流し込み、「志望度」が低い人は手厚いフォローパターンに流し込むということです。ただし、かなりインプットを行っても「志望度」があまりに低い人はどこかのタイミングで諦めることも必要です。このあたりのバランス判断が難しいところです。

優秀であってもなくても志望度が高い人は「簡素なフォロー」にするということですが、お勧めはグループフォローです。相性の合いそうな学生同士を集めて、一緒に質問会を行ったり、会食をしたりするということです。もう少しフォーマルに、なんらかのワークショップを企画してイベント化してもよいかもしれません。
大量採用しているような会社の場合、このグループフォローを100人近くの単位でやる会社もあります。志望度の高い人同士のグループフォローは、「赤信号、皆で渡れば怖くない(古いですね…)」のように、いわゆる「同調圧力」が働き、「あの人がここに入るなら僕も決めようかな」という風になることもあります。

高志望度層をグループフォローなどで簡素化して対応したことで浮いたパワーは、低志望度層に使います。これは、単純に1on1でのミーティングを中心としたフォローに使うべきでしょう。「人を見て法を説け」ですので、ここで「絶対にこうするべき」という一つの方法はありません。

以上、今回はここまでです。ご覧いただきましてありがとうございました。

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