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2019/12/18

新卒採用に向いている会社とは―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション

こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。今回は、そもそもなぜわれわれは新卒採用をしているのかについてあらためて考えてみたいと思います。今の世の中、新卒採用を中心に組織をつくっていかなくても、中途採用で経験者を採ることもできますし、アウトソーシングや派遣を導入することによって、採用すらしなくてもいい状況にもあります。そんな中で新卒採用は必ずしもしなくてはいけないことなのでしょうか。

一貫性が取れているなら「どちらでもいい」
ストレートに結論から申し上げますと、私自身「究極的にはどちらでもいい」と思っています。新卒・中途に限らず、すべての人事施策で最重要ポイントは各施策間(採用・育成・配置・評価・報酬・代謝等)の「一貫性」であって、それが取れている組織はどのような方針を取っていても一定の成果を上げています。逆に、一部を取ると流行に乗ったいい感じの施策を実施していても、その他の施策との整合性が取れていなければ、たいていの場合残念ながら効果が出ていないことがほとんどです。

ですから、新卒採用を中心に組織をつくると決めたのであれば、それに合った育成や配置を行う必要があり、中途採用を中心に組織をつくると決めたのであれば、同じくそれに合った人事をすればよいというのみです。中途半端が一番いけません。

ただし、制約条件を考えると…
ただし、以上は「一般論」です。事業や仕事などの制約条件を考えると、やはりどちらかといえば新卒採用の方がやりやすいという会社もあれば、中途採用の方が適している会社もあるでしょう。では、その「新卒採用と中途採用の適・不適を分けるポイント」はどのようなものでしょうか。次頁以降で、2つの大きなポイントについて説明をさせていただきます。

新卒採用に向いている会社の特徴

ポイント①学生に受けるセールスポイントがある
まず、身もふたもない当たり前の話から始まってしまいますが、学生に受けるセールスポイントがある会社が新卒採用に向いています。実際、さまざまな人気企業ランキングを調べてみると、学生のランキングと社会人のランキングは結構異なり、企業選びの志向が違うことがわかります。ただ、では学生に受けるポイントというのが何かというのが問題です。

順不同で例を挙げますと、「B to C企業で消費者に知名度がある(学生は基本的にはまだ消費者)」「扱っている商品が具体的でわかりやすい(抽象度の高いビジネスはなかなか理解されにくい)」「事業の社会的意義を明確に伝えることができる(最近の学生は『何のためにその事業をするのか』に敏感)」「知的好奇心を刺激して、自分の成長につながる予感がある(学生が会社を選ぶ最大の要因は『その仕事で成長できるか』)」などです。

この受けるポイントというのは当然と思いますので、逆に最近の学生に「受けない」ポイントについても例を挙げますと、「一人前になるのに10年等、長期間の修業が必要で20代は下積み(若者は生き急いでいる)」「中途採用社員が多く、多様性はあるが、文化が一枚岩になっていない(調査などを見ると、意外に若者は一体感を求めている)」「社員の平均年齢が高い(若者は若者が好き)」「上意下達や競争の文化(価値相対主義の人が多く、絶対的価値観を押し付けてくることに嫌悪感を持つ)」「転勤や海外駐在がある(学生時代を過ごした地域か地元での就職を望み、海外駐在をしたくない人が大半)」などです。

このようなウリのある会社は、新卒採用市場で強いわけですから、良い人材を十分に確保できる可能性があります。ですから、新卒に力を入れてみてはどうでしょうか。

ポイント②若手に任せられる成長できる仕事がある
二つ目の新卒採用が向いている会社の特徴は、これも当たり前に聞こえるかもしれませんが、新卒採用のような「まだ何者でもない」「何もできない」ポテンシャル人材でも着手することができる仕事がたくさんあるということです。

先に述べたように、学生が企業を選ぶ際に重視する最大の要因は「成長できるか」どうかです。そして、人が成長するのは基本的には仕事を通してです。仕事を任されて、そこで自分の頭で考えて動き、試行錯誤をすることで経験から学び、能力やスキルを身につけていくのです。ただし、これはアシスタント的、補助的な仕事ではないということは重要です。(売り上げなど)小さい仕事でもいいので、できるだけ全体性のある仕事であることで、仕事の一から十まで経験できるのです。部分的な仕事をしているだけでは、全体にすでに規定された決まり切った仕事、指示された仕事をするだけになり、あまり学習ができません。

若手に任せて成長できる仕事があれば、ポテンシャル人材の新卒を採っても、価値を出してもらいながら育成することができ、次から次へと人材を輩出させることができます。こういう良循環ができそうな会社は新卒採用に力を入れるとよいと思います。

中途採用との組み合わせ方

中途採用の方が適している会社とは
さて、一方、中途採用に向いている会社はどんな特徴があるかといえば、まずは前の頁で述べた「新卒採用に向いている特徴」を持っていない会社です。

新卒採用は名だたる大企業とも戦わなくてはならない競争の激しい市場です。ですから、新卒市場における強みを持たない企業は苦しいです。別の言い方をすれば、新卒採用をしたいのであれば、上述したような強みをなんとかしてつくっていくべきということです。

中途採用ではそういうことはありません。競合は同業他社など、自社と似た企業との競合になるため、新卒ほどの競争にはなりません。採用は事業や営業と同じく競争ですから、勝たなければなりません。そう考えると「勝てる市場でやる」ことは重要です。

積極的に中途採用をすべき会社とは
しかし、これだけだと中途採用は仕方なくやるもののように聞こえるでしょうが、そうではありません。新卒採用ができたとしても、中途採用に積極的に力を入れるべきであるというような会社も当然ながらあります。

それは、プロ人材だけで集まって仕事をしているような、いわゆる「プロフェッショナル・ファーム」的な会社です。そこには、「育成のための仕事」はありません。クライアントから見て、自分の依頼した仕事で練習などされてはたまりません。実態は練習的な仕事がないわけがありませんが、それでも大義名分ではないことになっています。しかし、あからさまな「練習感」があればクレームになることでしょう。

つまり、育成の論理(人を育ててできる人にする)ではなく、選抜の論理(できる人を選び出して抜てきする)で組織運営が行われており、「いきなり本番」「本番しかない」という会社は、プロを中途採用(というよりも、新卒と中途を分けないという方が正確)をすべき会社ではないでしょうか。

目的を分けて採用するのも一般的
本稿では「新卒か中途か」という二項対立で話を進めてきましたが、実際には「どちらもやっている」ところが大半ではないかと思います。それはもちろん問題なく、これまで述べてきたような考え方をベースに、それぞれ目的を明確にして行えばよいでしょう。

パターンとしては、新卒採用を将来のリーダーや幹部候補生として捉えて、中途採用を専門職やスペシャリストとして考えているケースと、新卒採用は一番ボリュームゾーンとなる職種を大量採用するためのチャネルと考え、もちろんそこからのリーダー登用はあるものの、基本的には中途採用で幹部層は埋めていくケースが多いです。

冒頭に述べましたように、これらは「どちらでもよい」と思います。繰り返しになりますが、重要なのは「一貫性」です。目的を明確に定めた上で、その目的に整合性が取れるようにほかの人事諸施策を合わせていけば問題ありません。例えば、幹部候補生として新卒を採るのであれば、ジェネラリストにするためにローテーション人事を定期的に行い、さまざまな経験を積ませるとか、採用基準を「新入社員が明日からする仕事」に最適化するのではなく、リーダーシップなど少し先に担当するかもしれない職務において必要な側面も検討する、などということです。

最も危ないのは惰性で新卒、惰性で中途と、あまりきちんと考えずに、どちらをどれぐらい採るかを考えていない状態です。本当は逆がいいのに、という場合も大いにあるでしょうから、ぜひ一度ご検討をお勧めします。

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