
辻 太一朗(つじ・たいちろう)
2019/01/15

イントロダクション
皆さんこんにちは。採用ナビゲーターの辻太一朗です。 本年も宜しくお願い致します。
新年とともに2020年採用についても、いよいよ本格始動へ向けて動かれている頃かと思います。 例えば、セミナーや選考会に向けた最終調整など、社外の人と話す機会が増える方も多いのではないでしょうか。
私は昨年、300社ほどの企業にお邪魔しましたが、電話でアポを取り「採用担当の方とお話しさせていただけますでしょうか…?」という流れで訪問させていただいています。
何度もお邪魔させていただいている企業では、1年ごとに担当の方が異動などで変わっているところも少なくありません。
このような採用担当の方とお話ししたことを通して気づいたことがあるので、今回はそれについてお話ししていきたいと思います。
せっかくの機会を活かせない
採用担当者が多い?
1日3~4件の企業を訪問していますと、事前に用意している同じ質問をしても、担当の方によってリアクションは全く異なることがあります。 そのリアクションを顧みると、採用担当の方々を大きく2つのタイプに分けられるかもしれません。
それは、他部署の動きを把握されているタイプの採用担当の方と、そうでない方です。
動きを把握しているタイプの方とお話をすると「その話題は、私の上司が凄く興味を持つと思います」「タレントマネジメントの話題は当社全体で大きなものになっていますよ」「そのお話に付随するような取り組みを始めている部署があるんです」などといったように、自分の仕事以外の動きを会話の中で挟んでくれることがあります。
採用は生ものですので、常に鮮度の良い情報が必要となってきますよね。
そのため、社内の状況をリアルタイムで知っておこうと、自ら率先して動き、情報を集めている方は、私の質問に対し自分の意見だけではなく、社内全体の流れを想定した返答をいただける方が多い印象でした。
一方で、説明をしても単に聞き流しているように感じる方や、何を話しても否定的にしかお聞きにならない方もおられます。 あるいは話をしている中で質問したり、意見をお伺いしたりすると「教育は私の担当ではないので知りません」「(上司がどのようなことに興味があるのか等は)私は聞いていません」といったように、人事回りの業務や課題などに全く興味を持っていないように感じる方もいます。
こういった人たちとお話をすると、「なんだかもったいないことをしているなあ」という思いが募ります。
せっかく時間を割いていただいてお話をしているのに、率先して話を吸収するわけではないので、その人たちにとっても時間の損をさせてしまっているように感じてしまうのです。
ただその一方で、考え方を少し変えるだけで、損する時間をなくすことができるのではないか、とも思いました。
「真面目過ぎること」が
成長の足枷になっている?
私から見た「もったいない人」に共通しているのは「とても真面目な方」という印象を受けることです。
真面目ゆえに、自分の任された仕事に対し「これは自分がやらなければいけない」「採用担当としての責任があるから」と考えているので、自分の置かれている場所だけに注力してしまうのかもしれません。
冒頭でもお話ししたと思いますが、新卒採用の移り変わりはとても目まぐるしいもので、早いところでは1年で異動もありうる部署です。
自分の仕事に対して責任を持つことは大切ですが、新卒採用に関してはもう少し気楽に「いずれ別の部署に移るのだから、ここで経験したことが後で活かせればいいか」と、肩肘張らずに、「説明会のネタを探していまして…」と、他部署の様子を見に行ったり、新しい自社製品や企画についてそれとなく首を突っ込んでみると、自分が思っている以上に様々な知見が身につくと思います。
「新卒採用と関係あるのか?」と聞かれることもあるでしょう。 そのときは「新卒採用は生ものですからね。情報も鮮度が命です」なんてウィットに富んだ一言を加えてみれば、有益な情報を共有してくれるかもしれません(笑)。
いずれにしても「人材採用」という名目で幅広い部署に関わり合うことができる「お得な部署である」という意識で広いネットワークを作ってみてもよいかもしれません。
「企業の未来のことを考える」
それは採用だからできること
新卒採用ももちろんですが、人事は社内にいながら常に企業を客観的に見ている部署ですよね。
営業や企画など、具体的な数字などの成果を追い続けるミッションとは違い、企業で活躍する人材を見極めて採用し、入社後も成長を見守るという長いスパンで成果を出していくミッションです。
そのため、企業の内側から社内を見つめて、「この事業を進めるために必要なのはどんな人材か」「どんな人材をどのように配置すれば企業の成長に繋げられるか」などといったようなことを考え、実行していくことが必要になっていきます。
企業の未来を真剣に考えることができるのは、経営企画部門以外はまさに人事・採用担当だけといっても過言ではないかもしれません。
社会人として過ごしていく時間の中で、新卒採用の担当になったことを「仕事だから頑張らないと」というスタンスだけで向き合うのはとてももったいないことだと私は思います。
「自分がこれから社会人として成長するための通過点の一つだから、気負わずに、自分も学ぶ感覚でいようかな」といった気持ちでいたほうが、自分の中での視点を増やし、その後のキャリア形成をより良いものにできるし、新卒採用の経験をいいものにすることができるのではないでしょうか。
今月も、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
- 辻 太一朗(つじ・たいちろう)
- (株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

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