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2014/09/16

「採用担当」というキャリア―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション


こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。

就職活動や採用活動の全国的なピークは越えたとはいえ、求人難の本年は採用が終了していない企業も多いと思います。そんな中、悠長な話題で恐縮ですが、今回は少し実務的な話を離れ、人事の皆さんのキャリアのお話をします。

私の会社では、人事部長や採用マネジャー等、人事担当者を中心としたスタッフ系の人材紹介事業をしていることもあり、人事の皆さんのキャリア開発に関して考える機会がよくあります。

ひとえに人事といっても、採用をはじめとして、育成や評価、報酬、配置と、様々な業務がありますが、その中でも本コラムでは特に、読者の中心であると思われる 「採用担当」 にフォーカスし、そのキャリアが未来にどうつながっていくのかについて述べたいと思います。

以前勤めていた会社で人事をしていた時に、リクナビNEXTの取材(※)を受けたのですが、そこで取られていたアンケートでは、人事担当者の多くは、自分の仕事の成果が見えなかったり、どんな力がついているのか分からなかったりと、かなりの不安を抱えているという結果が出ていました。
(※参考 リクナビNEXT 人事部で働く20代100人の「仕事の悩み、キャリアの不安」

これは採用担当者においても同様でしょう。
いえ、採用担当者は、制度企画や労務と比べると、専門性が低く見られがちなため (本当はそんなことはないのですが……)、最も不安を抱えている層かもしれません。

しかし、そんな採用担当の皆様に、私は自信を持って 「不安に思う必要はまったくありません。一生懸命に採用の仕事をしていれば、必ず後のキャリアにつながっていきます」 と申し上げたいと思います。

「採用担当」というキャリアは、まず人事全般のキャリアという視点から考えても、最初に取り組む仕事として大変適しています。
育成や制度設計などの他の人事業務に役割が変わったとしても、採用で培った能力はものすごく活きてくるためです。

さらに、もしも将来、人事以外の仕事に就くことになったとしても、採用担当の経験は絶対に役に立つと思います。
事実、リクルートなどで採用担当をやっておられた諸先輩方や仲間たちで、経営者や何らかのスペシャリストとして別分野で大活躍している人は山ほどいます。そして彼らは口々に 「採用の仕事は、今も役に立っている。やっていてよかった」 というのです。

そんな「採用担当」、一体キャリアとして何が良いのでしょうか。

人事キャリアのスタートとして最適な「採用担当」

まず、人事領域のキャリアで、「採用担当」 がどう活きるかについてお話します。

皆さんは 「人事のコアスキル」 は何だと思われますか。
私は 「人や組織の見立て」 すなわち 「今、この人(組織)はどんな状況で、問題が何かを見極めること」 だと思います。

人事の重要なスキルとして採用や育成、評価、報酬、配置等に関する技術的・専門的な知識を挙げることがあります。
労働法や社会保険の知識、各種制度の知見、様々な適性検査や研修等、組織開発ツールなどを知っておくことはもちろん重要です。

しかし、事業戦略やマーケティング、商品開発等、無限に解決策が案出できる他の分野と比べると、人事領域における解決策のオプションは限定的です。
極論すれば、 「絶対評価か相対評価か」「職能給か職務給か」 というような、「右か左か」 的な選択肢での議論できるケースが多いように思います。また、専門知識・サービスを提供する人事領域のベンダーも増えた今では、外注することも可能です。判断以外は外に出せます。

とはいえ、その「右か左か」の二者択一の判断をよく間違えるのが人事です。
原因の多くは「見立て」の間違いにあります。誤った仮定から論理的に導き出された結論は必ず誤りですから、もし間違った結論を全力で推進すれば恐ろしいことになります。これを避けるために 「右か左か」 正確に判断できるよう 「見立て」の力を磨く必要があるのです。

その 「見立て」の力を日々磨いているのが 「採用担当」 という仕事です。

個人のパーソナリティや能力は目に見えません。それを目に見える行為や、聞こえる言葉から推測して、「この人はどんな人物か」 を判断するのが面接です。面接はこなせばこなすほど、自分の中に「人物データベース」が溜まっていき、そのデータベースと比較することで、「この人はどんなレベルなのか」 も分かってきます。

人が集まったものが組織です。個々人の「見立て」 ができるようになれば、その集合体である組織の「見立て」 にもつながっていきます。「どんな人が多くて、どんな人が足りていないのか」「自社の競争力を生み出している人物はどんな人なのか」「自社の文化(≒構成員の価値観の集合体) の特徴は何か」 等々、わかるようになってきます。

そんな 「見立てる力」 を身に付けた 「採用担当」 は、人事の別の領域の仕事でも活躍できることでしょう。

例えば、人事の別の領域でも必要となる評価業務とは、対象が自社への応募者か、自社の構成員か変わっただけともいえます。また配置は、あるポジションへの社内人材母集団からの採用だともいえるでしょう。

さらに、育成体系の構築は、自社の人材に不足している力が分からなければ適切なものは作れません。
要員計画を立てるのも、人を見立てることができず、売上や利益から生産性観点で逆算して頭数だけで採用数等を考えるような担当よりも、頭数は同じでも、どんな人が多くて、どんな人が不足しているか見立てられている担当が、より精緻なものを出せることでしょう。

このように、採用業務で身につく人を 「見立てる力」 は、他の人事業務においても大いに役立つのです。

「採用担当」のキャリアは人事以外でも通用する

では、人事以外の領域で、「採用担当」というキャリアは活きるのでしょうか。
こちらについても、私は力強く YES と申し上げたいと思います。

例えば、経営者やマネジメントの仕事の半分以上は人事に関することです。
某大物経営コンサルタントも、経営者の仕事は誰に何をさせるかだ、とおっしゃっていました。要は仕事と人のマッチングであり、採用と本質的に似通っています。また、事業目的を果たすために必要な人材の採用を、経営者自らが先頭に立って行うことは少なくありません。

事業や商品・サービスの開発の仕事も、肝は、どんな人の、どんなニーズを満たすのか、です。
そのためには、「求める人物像」 を定めるかのごとく、「コア・ターゲット像」 を定め、そこにささるような「採用広報物」 ならぬ、実際の商品やそのプロモーションを設計するわけです。

営業などは、最も採用に似ている仕事といってよいかもしれません。
売るものが違うだけで、採用は会社を売る仕事ともいえます。営業会社の方に採用のアドバイスをしていると、 「それって、営業と一緒ですね」 といわれることは多々あります。

また、採用担当の主要業務である面接スキルは、他の仕事でも多方面で使われるインタビュースキルとほぼ同じです。
目的が、インタビュー対象を知って採用の可否を決めるのか、別にあるのかだけのことです。

このように、採用担当をしていて、そのコアスキルである「見立てる力」 をきちんと磨いていけば、他の仕事に移っても通用する人材になることは、決して難しいことではないと思います。
採用業務においてしか役に立たないのは、関連法務や採用メディアの知識、採用マーケットの動向、採用領域のサービスベンダーに関する知見くらいのものです。

もちろん、採用業務で得られる力「だけ」 で、その他の領域でも活躍できるわけではないでしょう。
しかし、今回見てきたように、採用担当の仕事によって、ビジネスパーソンとしての底力を鍛えることができると思います。

したがって、冒頭のアンケートのように自分のキャリアの行く末に過度に不安になること無く、ぜひ、採用業務に邁進していただきたいと思っています。

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