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2017/08/21NEW

入社後に成長する人材を見立てる面接とは ―コンピテンシー面接に続く「経験学習面接」入門―

小宮 健実(こみや・たけみ)
1993年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。 人事にて採用チームリーダーを務めるかたわら、社外においても採用理論・採用手法について多くの講演を行う。さらに大学をはじめとした教育機関の講師としても活躍。2005年首都大学東京チーフ学修カウンセラーに転身。大学生のキャリア形成を支援する一方で、企業人事担当者向け採用戦略講座の講師を継続するなど多方面で活躍。2008年3月首都大学東京を退職し、同年4月「採用と育成研究社」を設立、企業と大学双方に身を置いた経験を生かし、企業の採用活動・社員育成に関するコンサルティングを実施。現在も多数のプロジェクトを手掛けている。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

イントロダクション

皆さん、こんにちは。採用・育成コンサルタントの小宮健実です。

さっそくですが、入社後に成長する人材とそうではない人材を、面接時にどのように見立てればよいでしょうか?

入社後に成長するためには、「経験から学ぶ力」が重要です。経験から学ぶには、経験を単なる過去の事実として終わらせず、そこから自分なりの学び(次の行動に活かせる知恵やコツのようなもの)を得る必要があります。

組織行動学では、自分が実際に経験したことから学びを得ることを「経験学習」といいます。組織行動学者のデービッド・コルブはそのプロセスを理論化し、「経験学習モデル」として提唱しています。

今回のコラムはこの「経験学習モデル」を取り入れた、入社後に成長する人材を採用するための面接手法についてご説明したいと思います。

 

「経験学習とは?」

 

入社後の成長(育成)が前提となる新卒採用において、成長力の高い人材を獲得する重要性については疑いの余地がないでしょう。

まず、入社した人材がどのように学び、成長していくかについて考えてみましょう。

研修などを通じて知識を受動的に学び、それを現場で実践するということももちろんあると思います。しかし私たち社会人にとっては、日常の仕事を通じて学びを得ることのほうが圧倒的に多いと思います。

その際に大事なこととは何でしょうか?

仕事を通じて学びを得るとは、言い換えると、「行動した後に、振り返って気づきを得ること」といえます。

そのような行為が日常的に身についている人材は、一つの経験から得た学びで次の行動の質を高め、たとえ失敗してもそこから学びを得て、同じ過ちを繰り返さない人材です。そして、周囲からすべてを教えてもらわなくても能動的に成長していくことも期待できます。

変化の速い時代において教科書的に教えられることが陳腐化しやすい中、こうした経験学習の力は成長のために非常に重要だといえます。

では、新卒採用の面接場面において、どのようにその力を見立てていけばよいでしょうか?

経験学習力を見立てる面接を、私は「経験学習面接」と呼んでいます。そして、経験学習面接では、経験学習力の高い人材を 「学生時代に経験学習サイクルを体現している人材」 と定義しています。

 

まず、先述したデービッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」を見てみましょう。

 

コルブは、経験の連鎖から自己成長を遂げるには上記のようなサイクルを回すことが大切だとしています。

まずは具体的な「経験」をした後、じっくりと「省察」する(振り返る)ことが重要です。「概念化」というのは、今回の経験が他の経験にも活かせるように、抽象的・一般的な言葉で理解しなおすことです。そして新たに「実践」するわけですが、その際には新しいことを試みる勇気・決断も求められるとコルブは述べています。

このモデルを学生の生活場面に当てはめると、例えば以下のようになります。

 

 

経験学習面接では、応募者から上図のような、「学生生活において実践した、経験学習サイクルに相応する連鎖的なエピソード」を聞き出し、応募者の「経験から学ぶ力」を見立てることになります。

では、次章でさらに詳しく経験学習面接の進め方をご説明します。

 

 

「経験学習面接の具体的な進め方」

 

経験学習面接ではまず、学生生活における取り組みについて具体的に話してもらいます。面接者はその取り組みに対し、取り組みの背景や周囲の人との関係性について質問します。出だしは標準的なコンピテンシー面接と同様です。

話してもらう内容は、できれば応募者にとって初めてのことや挑戦的なことのほうが、その後の質問がスムーズに行えます。

挑戦的な取り組みをやり遂げるためにどのような問題意識を持ち、自分に足りなかったことを実際にどのように補完したのかといったことを聞いた後、その経験で学んだことや今後の教訓としたことなどについて聞いていきます。

次に、その経験が活かされた別の取り組み(もしくは同じ取り組みの別の場面)の話を聞いていきます。

図にすると以下のようになります。

 

 

このように経験学習面接では、ある一つの行動場面だけではなく、その経験から得た気づきを新たに別の経験に活かした話を聞くことが前提になります。

2つ以上のエピソードの連鎖を話すことに慣れていない(心の準備ができていない)応募者もいるかもしれません。

もしも、難易度が高すぎると感じる場合には、まず入学年次の取り組みを質問することから始めて、それを二年次・三年次にどのように活かしているか、といった質問の進め方にするとよいでしょう。ちなみにこうした質問方法は、文部科学省や大学が力を入れている、学生生活におけるポートフォリオ(取り組みの記録)を活かす面接方法としても適しています。

 

「経験学習面接実施上の注意点」

最後に、経験学習面接とコンピテンシー面接との違いおよび注意点についてご説明します。

まずコンピテンシー面接との違いですが、コンピテンシー面接では応募者の行動事実そのものに主眼が置かれるのに対し、経験学習面接では、行動(経験)から得た気づきが、その後の行動にどう活かされているかに主眼が置かれます。

 

ゆえに、コンピテンシー面接が「事実情報の取材」のようであるのに対し、経験学習面接は応募者の「考え方や思いを、共感を示しながら聞く」進め方になります。

注意点は、コンピテンシー面接よりも評価が俗人的になりやすいことです。応募者の思いや考えに対する評価基準の言語化が難しいので、面接者個人の判断による部分が大きくなってしまいがちです。

そこで私のおすすめは、選考の比較的早いプロセスでコンピテンシー面接を実施し、その後の工程で上位ポジションの面接者が経験学習面接を行うというものです。

 

コンピテンシー面接は、その進め方にある程度ルールを順守することが求められることから、上位ポジションの社員が行う面接としては窮屈な場合があります。逆に経験学習面接は、面接者個人の判断のウエイトが増すので、自身も経験学習のサイクルを回した経験を豊富に持っているであろう上位ポジションの社員が行うほうが適切なのです。

こうして一次面接と二次面接、もしくは二次面接と最終面接といったように、使い分けていくことをおすすめします。成長力のより高い人材を採用するために、ぜひ試してみてください!

 

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