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2016/08/18

理系人材採用の考え方が変わる?!―学科の枠組みを超える”新たな動き”とは―

辻 太一朗(つじ・たいちろう)
(株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

イントロダクション

こんにちは。採用ナビゲーターの辻太一朗です。

学生は夏の長期休暇に入りました。17年卒採用を継続している企業の皆さんは、前半戦 「ラストスパート」 に突入していらっしゃる頃かと思います。

「売り手市場」 といわれる昨今ですが、特に電気・機械系の学生数が少なく、採用に苦労しているという話を耳にします。またIT系の企業などでは、理系 (情報系) の学生にしぼって採用することが難しくなっている中、文理関係なく採用して入社後の育成に力を入れている企業も増えているようです。

そんな中、 「理系人材がなかなか採用できない……」 という現状の改善を目指す取り組みが国レベルで始まっているのはご存知でしょうか?

今回は、今後の理系採用に大きく影響してくると思われるその動きについて、ご紹介したいと思います。

7月8日の産経新聞朝刊に 「リケジョと企業の相性 “見える化”」 という記事が掲載されました。記事では、理系の女子学生の専門分野と企業にとって望ましい人材像をグラフ化(見える化)することで両者のマッチングを図るシステムを、経済産業省が年内に開発するということが紹介されています。

こうした動きが活発化してきた背景には、何があるのでしょうか?

理系の人材不足は、国レベルでの問題に

 

産業界とのニーズギャップが特に激しい理系の女子学生が対象となるこのシステムは、学生が履修科目を登録すると、就職活動で応募条件に合う業界が分かるというものです。また、どのような科目を修得すれば志望業界に応募できるようになるのかも把握できる仕組みになっているとのことです。

こうした理系学生と企業とのマッチングに関しては、国や経済団体・大学関係団体で構成される「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」がイニシアチブを取るかたちで進められてきたようです。

同会議では、電気系・機械系・情報系の学生のニーズは極めて高いものの、これに該当する学生を短期間で増加させることが非常に困難であることが指摘されています。一方で、例えば、本来は「機械工学系」の学生をターゲットとする企業であっても、「材料力学」「熱力学」等の基礎科目を履修し数学的な基礎を理解している学生であれば、機械工学科以外の学科からでも採用するといったケースが多くあることが挙げられました。

さらに、同会議発表の「理工系人材育成に関する産学官行動計画(案)」では
●各業界で人材に求めるスキル(必要な基礎科目)を明確にする
●採用活動において、スキルの有無の評価を強化する
といった点を広く産業界に求めていくことが定められています。

このような動きによって学生は、他学科の科目を履修する必要性を理解しやすくなりますし、「就職をふまえた履修」「将来のための履修」を強く意識するからこそ学ぶモチベーションも向上していくことでしょう。そして結果として、産業界のニーズに沿った理系学生の増加につなげていくことがこのシステムの狙いであると考えられます。

誰でも受講できる新たな教育サービスが誕生

また現在、これまでは大学でしか取得することができなかった基礎科目を無料で受講でき、履修評価もされるという仕組みも生まれています。

オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる「MOOC(MOOCs)」という教育サービスが2012年にアメリカで生まれ、世界的な広がりをみせています。翌2013年には、日本版MOOCの普及・拡大を目指し、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が、日本全体の大学・企業の連合による組織として設立されました。

講座は誰でも自由に受講できるため、学生であれば自分の大学では受けることができない科目を受講できますし、社会人であれば、入社後に必要となった知識を修得する場として利用できます。

JMOOCは昨年経団連の協力のもと、各企業の技術者として必要とされる基礎科目に関する調査を実施し、上位50科目程度を今年から来年にかけて提供していくようです。来年度中には、下記の科目の提供を目指しているとのことです。さらに数学等の教養科目についても順次提供していく予定のようです。

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出身学科ではなく 「どんな科目を学んだのか」 が重要?

これらの施策が根付いていけば、学生は学科の枠にとらわれず、目指す仕事に必要な科目を選び、積極的に学習するようになっていくことでしょう。

そうなれば企業は、 「電気電子系学科出身」 「機械工学科出身」 といった学生の所属学科だけにとらわれず、意欲があり、かつ必要な知識を持っている学生を広く他学科から探すこともできるようになります。ターゲット学生が広がるということです。

または内定後に、前述したJMOOCなどを使って 「入社までに○○と△△の科目を自主的に学んできてほしい」 と学生に依頼し、業務に必要な知識を修得しておいてもらうという活用方法もあり得るでしょう。

さらに、近年の大学では単に 「機械」 「電子」 といった縦割りではなく、より複合的なカリキュラムが組まれていたり、今まで聞いたこともないような新しい学科名に変更されていたりするなど、学科名だけでは大学で具体的に何を学んできたのかが分かりづらくなっているのが現状です(ちなみに私は土木工学科出身ですが、現在、私が卒業した学科は 「地球工学科」 となっています。一見、具体的に何を学んできたのかが分かりづらいですよね……)。

そんな状況でもJMOOCなどを使えば、大学名や学科名以上に、その学生がどんな科目を取得したのかを (大学以外の場も含めて) 確認していくことが可能になります。

これまでは 「求める学科の出身だが、人物としては採用基準に達していない。しかし他学科の学生からは選べないので採用するしかない」 といった消極的な採用が発生している企業もあったのではないでしょうか。

しかし入社後の活躍を一番に考えるのであれば、指定学科に属する学生に限定した採用をおこなうよりも、学科にとらわれず、実際に現場で必要な知識を得ている学生や、他学科の科目取得にも意欲的な学生に目を向けていく必要があるでしょう。

理工系のビジネスフィールドは現在、ロボットやIoT・AI・次世代自動車など分野の枠組みを超えてさらに学際的になってきていますよね。その意味でも、出身学科にとらわれる採用は、今こそ再考すべきかもしれません。

今後もこうした理系採用に関する国をあげての取り組みについて、注視していきたいと思います。皆さんの企業でも、参考になる情報となりましたら幸いです。

 

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