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2015/09/02

「見極める力」を向上させる、とっておきの方法!―「内定者ノート」をつくったら、こう変わった―

辻 太一朗(つじ・たいちろう)
(株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

イントロダクション


こんにちは。採用ナビゲーターの辻太一朗です。

さて、9月に入り、採用活動の進捗状況はいかがでしょうか。
今年は短期勝負ですので、既に活動のピークを過ぎたとお感じの方もいらっしゃるでしょう。

今後も内定者フォローなどさまざまな業務に忙しいことと思いますが、ピーク時と比べると業務量が減ってきたという方も多いのではないでしょうか。こうした時期は、採用に関する勉強や実験的な取り組みを始めるには、最も適していると思います。

さて今回のコラムは、私が採用担当者だった頃に継続しておこなっていた取り組みの一つである、「内定者ノート」 です。

きっかけは「反論できない悔しさ」

「私なんかが面接をしてしまってよいのだろうか」
「人生経験すら浅いのに、人を見極めることなんてできない」

これは採用に携わる方の多くが抱く想いでしょう。
特に、入社後すぐに採用担当部署へ配属された方は尚更ですよね。

新卒入社から1年目で採用担当となった私もその例に漏れず、こうした想いを持っていました。

そんな私が自らの 「見る目のなさ」 を最も痛感させられたのは、面接の時です。


ある時、面接を終えて先輩に 「さっきの学生は元気があっていいですね!」 というと、「それ以外に取り柄がないじゃないか。元気というだけで評価するのか?」 といわれました。

またある時は 「賢そうな学生でしたね」 というと、 「ああいうタイプは入社後に浮いちゃうんだよ」 と返されてしまいました。

このように、自分の視点で意見を伝えると先輩方はたいてい、違う視点からの意見を返してきました。
特に、採用担当者として長く勤務しているからこそ持てるような意見を返されてしまうと、その蓄積がない私は一切反論できなくなってしまい、悔しい想いをしました。

なんとかして先輩に対抗できる材料がほしい。
その想いがきっかけとなって生まれたのが、 「内定者ノート」 でした。


初対面から入社までの間、内定者には何度も顔を合わせる機会があると思います。

接していくうちに内定者の本質や心境の変化などがみえてくるわけですが、その時々の気づきをしっかりと記憶しておくのは難しいものです。

その対策として 「内定者ノート」 に、学生の言動やそこから感じた印象などを、日々書き記しておくことにしたのです。

単純に 「忘れないために記録する」 という意味もあるのですが、継続していくうちに、 「内定者ノート」 はそれ以上の大きな効果をもたらしました。


自分のクセやズレを知る

では、ノートに何を書いていたのかというと、それほど難しいことではありません。
内定者に会った月日、内定者の氏名といった基本的なことに加えて、以下のような事柄です。

● 内定者に対して感じたこと
(例): 「明るくて元気なタイプだと思っていたが、集団の中ではそれほど目立たない」

● なぜそう感じたのか
(例): 「自ら話を振っていき場を盛り上げていくようなリーダータイプだと思っていたが、内定者の中ではそれほど目立っておらず、リーダーシップを発揮しているようでもない」

● なぜこれまではそう感じなかったのか
(例): 「面接では活き活きとしていてエネルギッシュに感じた。話の内容より見た目を含めた印象に引っぱられていたのではないか。また彼がリーダーシップを発揮した具体的な話は実は知らなかった」

● 今後どのように変わっていくと思うか
(例): 「今もリーダーシップを見せたくて少し無理をしているように感じる。今後は自分に合うポジションを探していくのではないか」

上記の例のようなメモ程度のものを日々内定者ごとに書き留めて、それをたまに読み返すということをおこなっていました。

ちなみに下の写真は、当時私が実際につけていたノートの一部です。



こうした記録を振り返っていくことで、自分がその時内定者のどこをみてどのように判断していたのかといった自分自身の見方や判断の 「クセ」 、そしてそこから生じた認識のズレを理解できるようになります。

これはやはり、ノートに 「記録している」 からこそ振り返りがしやすくなっているのであって、単に脳内の記憶だけに頼るのでは難しいはずです。

また、自分自身のクセによる認識のズレだけではなく、内定者の心境や行動などが、付き合っていくうちに変わっていくということもあります。

内定者ノートを作り振り返るという経験を重ねるうちに、自分自身のクセやズレに気づき修正していくとともに、やがて、内定者の今後の変化を予測していくこともできるようになるでしょう。

勿論、内定者は一人ひとり違うものですが、おおまかな傾向というものは、少なからずあるものです。
それを内定者ノートによって、掴んでいくことができるのです。

実感値を持って採用に携われる

見極めに自信が持てず不安になるのは、 「確かめられない」 ことが大きな理由だと思います。

採用という仕事は、その場での自分の見極めや判断が正しいのかどうか、すぐに答え合わせができるわけではありません。 そのためになかなか実感値が持てず、ノウハウとしても貯まりづらいのではないでしょうか。

私は 「内定者ノート」 をつけていたからこそ自分自身のクセに気がつくことができたのですが、ノートをつけ始めたことで特に意識することができたクセは、 「相手の発言を鵜呑みにしている」 ということでした。

例えば、学生に 「私は部活動での大会に全力を注ぎました!」 などといわれると即座に、 「なるほど! 彼は体育会系だからガッツがあって、持続的に努力できるはずだ」 と判断してしまっていたことがありました。

しかし当然ながら、体育会系だからといって全員が持続的に努力できる力に優れ、辛いときでも頑張れるというわけではありませんよね。

体育会系特有の “押しの強さ” や見た目の印象、加えて自分の先入観に引っぱられ、無意識に、安易な評価を導き出してしまっていたのです。

言い訳をするわけではないのですが、これは私個人の問題のみならず、多かれ少なかれ誰しもが気づかぬうちに陥る落とし穴ではないかと思います。

どれだけその人の本質を見極めようと努力しても、見た目や雰囲気といった印象や、自身がかねてより持つ先入観などに影響されてしまうことがあるものです。

だからこそ、書いて 「記録していく」 ということは、可視化された情報をもとに、そうした影響の有無や傾向に都度自分自身で気づき、可能な限り防ぎ、より本質的かつ正確な見極めをおこなうことができる眼を養うためのツールとなると思います。

また、前章で述べた学生の変化というものを、よりつぶさに把握し認識していくこともできます。

ひとりの学生の言動を、面接時、内定式前、内定式後、入社直前などと時系列で記しておき、それを読みながら振り返ることで、学生がどのフェーズでどのように変化したのかを確かめることができます。

そうした経験を重ねていくと、学生のとりがちな言動や変化の傾向なども、掴むことができるようになります。

すると、先輩らが 「ああいうタイプは○○○に変わりがちだ」 などと評価する理由も分かってくるかもしれません。



以上、今回は採用担当者としての見極め能力を向上させる方法のひとつとして、この 「内定者ノート」 をご紹介しました。
これは、私が採用担当者時代に取り組んだことの中で、面接力向上に最も効果のあった方法だったと感じています。

特に決まった書き方があるわけではないですし、今日からすぐにでも取り組める簡単な方法ですので、ぜひ皆さんも試してみてください。

 

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