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2019/08/21NEW

環境に左右されない「採用戦闘力」をつけておきましょう―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション

こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。採用活動時期の自由化や通年採用化の議論喧しい昨今ですが、このように「どう転ぶかわからない」不透明な環境変化の時期においては、どのようになったとしてもいいように準備をしておくべきとも言えます。

それは、私がいつも申し上げている言葉で言えば「採用戦闘力」です。学生と闘うわけでもないので「戦闘」というのもどうかとも思うのですが、採用の「戦略」から「戦術」と来て、さらにミクロな要素を指す言葉として「戦闘」という言葉を使っています。

採用における「戦略」「戦術」「戦闘」とは
あくまで私の定義にすぎませんが、採用の「戦略」とは、「何のためにどんな人を何人採るのか」という採用方針やターゲティングのことを主に指し、「戦術」とは「そういう人を採るために、どんな候補者集団形成や選考、動機付けなどの採用活動を行うのか」という採用プロセスのことを主に指しています。採用における「戦闘」とは、「各戦術の実行」のことを指しており、具体的には「面接」や「会社説明会でのプレゼン」、「マンツーマンでの学生に対する口説き」等々のことをここでは言っています。

環境の変化の影響を最も受けるのは「戦術」
この中で、冒頭に挙げた「自由化」とか「通年化」がもし現実となった際に、最も大きな影響を受けるのはどこでしょうか。「戦略」は事業要因によって決まることが多く、採用市場がどうなろうとあまり直接的な変化は受けません(もちろん、勝手に事業側で「こんな人を採りたい」と言っても、それが現実的でなければ、採れないものを採ろうとしても仕方がないので、戦略の変更というのはありえます)。また、「戦闘」はどんな戦術を取ろうとも、順番やタイミング、どのぐらいの分量を行うのかというのは違っても細かく分ければ一つ一つの作業はそれほど変わりありません。最も環境変化の影響を受けるのは「戦術」です。いつぐらいから採用活動をスタートするのか、どういう集客手法や選考手法を取るのかは採用市場の環境によって決まります。

環境の変化を受けないからこそ「戦闘」力を磨く
そう考えると、現在のように、採用市場における企業の動きがなかなか読めない現状においては、もちろん様々なケースを想定して戦術を検討することは必要ですが、一方で、未来予測は外れることもあることを想定するのであれば、どのような環境に変化したとしても、常に一定の効果を出すことができる「戦闘」力を高めておくことこそ、最も重要な変化への準備と言えるのではないでしょうか。

 

最重要の戦闘力「動機付け力」

さて、では、最初に身につけておくべき戦闘力とは何でしょうか。この採用難時代においては、それは「動機付け力」、言い換えれば「口説く力」と言ってもよいでしょう。

「動機付け力」を構成する要素
動機付け力を構成するのは、「フォロートーク」と「意思決定サポート」の二つです。前者は候補者に対してどんなことを伝えるのかということで、主に「入社動機」や「事業・仕事」「組織文化」「ネック(不安要因)に対するカウンタートーク」の4つです。

組織文化の伝え方について
「組織文化」についてのポイントは、「象徴的なエピソード」もしくは「象徴的な社内での会話や言葉」によって、文化を表現するということです。

「御社はどのような雰囲気の会社ですか」というように組織文化について質問をされると、多くの人はあまり意識していないと「うちはとても風通しの良い社風ですよ」「新しいことにどんどんチャレンジさせてもらえる会社だよ」などというようにとても抽象的な回答をします。しかし、「うちは風通しの『良くない』会社だよ」と答える会社などありません。結果、どの会社も風通しが良く、新しいことにチャレンジさせてくれて、若いうちから活躍できる会社ということになり(もちろんそんなはずはありません)、学生からすれば全く差別化されない状態になってしまいます。

そうならないために、上述のように具体的で象徴的な「エピソード」や「会話や言葉」で組織文化を表現することが重要です。「若いうちから活躍できる」ではなく「あのビッグプロジェクトは弱冠25歳の3年目の社員がリーダーをやっている」とか、「うちはボトムアップな社風です」ではなく「マネジャーに何かを質問すると、必ずと言ってよいほど『お前はどう思うんだ』と問い返される」というように話をすることで、形の無い組織文化というものが、具体的なイメージを伴うことで候補者にリアルに理解してもらえるようになります。

候補者が聞いてくる質問はそれほどバラエティに富んでいるわけではありません。ですから、事前にトークを磨き上げてみてはいかがでしょうか。

 

意思決定サポートの要点とは

もう一つの動機付け力の要素は、意思決定サポートをする力です。ポイントは二つあり、一つは「信頼してもらってから口説く」ということ、もう一つは「うまい内定出しをする」とうことです。

信頼してもらってから口説く
気が急く採用担当者がやってしまいがちなのは、まだ相手から信頼も得ていない状況でガツガツ口説いてしまうことです。これを学生の立場から見てみれば、「まだよく得体の知れないおじさんからめちゃくちゃ口説かれている…」ということになります。想像するだけで怖いですよね。

口説くのであれば、自分が何者であるのかをきちんと伝えてからでなければ、どんな言葉も信頼されません。そもそも残念ながら学生は企業人事は「いいことばかり言う」と思っているわけです。その壁を乗り越えるためには、人として信頼してもらうしかありません。

「自己開示」が信頼を生む
信頼を得るためには、とにもかくにも「自己開示」です。自分が何者かを伝えないで信頼を得ることはありません。何者かを伝えるのは「属性」を伝えることではありません。どこの会社の何をやっている人かというのは既に伝えていることも多いでしょうし、それを知ったところで、信頼できる人かどうかなどはわかりません。

伝えるべきは「属性」などではなく、「モノの考え方」や「価値観」や「性格(人となり)」と、その信ぴょう性を高めるために、「なぜそうなったのか」というライフヒストリーです。自分はこんな人生を生きてきたので、こんな考え方や性格になった。これが重要です。そして、この自己開示の一番のチャンスが前述の「入社動機」です。

内定出しは十把一絡げではいけない
最後のポイントは内定出しをきちんと一人ひとりカスタマイズするということで、よく「うちはこんな風に内定出しをしています」とおっしゃる会社が多いのですが、もしそれがどんな人にも同じように内定出しをしているということであれば、NGだと思います。内定出しは会社から学生へのいわば「プロポーズ」です。一人ひとりの価値観に応じて、彼/彼女が喜ぶような形でしてあげるべきでしょう。

未来のことは完全にはわかりません。本稿のような「採用戦闘力」はどんな採用環境になっても、どんな採用戦略・戦術になっても効果がありますので、ぜひ信じて磨いてみてください。

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