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2013/09/03

PDCAサイクルを踏まえた「真のチェック」とは?―採用担当者のキャリアを考える~その3―

辻 太一朗(つじ・たいちろう)
(株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

イントロダクション

こんにちは。採用ナビゲーター・辻太一朗です。

今回は、採用担当者の仕事を「PDCAサイクル」に紐づけて考えてみたいと思います。

たとえば、「あの人は仕事ができるなあ」といつも感心するような人、周囲にいませんか? 仕事ができる人と、そうではない人の差はどこにあるのでしょう。

もちろん、個人の能力や適性の差もあるかもしれませんが、仕事のできる人が必ずといってよいほど行っていることがあります。

それは、「PDCA」サイクルをきちんと回していることです。自ら手がけた仕事をどのように計画し(Plan)、それを実行に移し(Do)、その後に検証して(Check)、また次の仕事に生かしていく(Act)ということ。

ほとんどの人が、仕事を始める前に何らかの計画をします。もしかするとそのレベルには大差がないかもしれません。仕事のできる人か、そうでないかは、実行しながらの検証(C)と改善(A)のスピードとレベルにこそ、大きな差が出ていくものです。

仕事のできる人は、改善を繰り返して、他者よりも早く仕事の精度を上げて、成果の出やすい行動をしているのです。

これをしっかりと行っている人は、過去の仕事の検証をするときに「あれ?」と思う課題に気付き、早期に修正する力が身に付いていきます。

この修正を的確にすばやくできるかどうかで、仕事のスピードや確度が違ってきます。逆に、「PDCA」を意識していかないと、変化のない仕事に終始してしまい、そこに個人の成長はないでしょう。

これはどんな仕事でも必要になりますが、とりわけ採用担当者は、この「PDCA」を回す機会が多い仕事だと思います。個人の成長機会につながる「PDCA」を経験し、学ぶことができる仕事なのです。

次章から詳しくお話ししていきましょう。

採用担当の「PDCA」を磨く3つの視点

新卒採用の仕事には、以下の3つの特色があると思います。

  • 1.1年に1度は必ず振り返り時期がある
  • 2.「採用」という目的はいつも同じなので、継続的に経年の比較検証ができる
  • 3.数値や事実をベースにして振り返ることができる

ここまでしっかりと振り返り業務があるのは、新卒採用だけだといっても過言ではないでしょう。「PDCA」の中でも、特に「C」をきっちり経験するのに、絶好の環境が整っているということです。しかし、昨年の数字と今年の数字を比較するだけで終わるのでは、本当の「C」とはいえません。

「PDCA」の「C」をきっちりとやり遂げ、スキルアップするための視点が必要ではないかと思います。ここでは、そのための3つの視点を紹介しましょう。

1.「HOW」から入らない分析

振り返りの際のチェックについて、「どういう経緯で、そうなったのか?」「どうしてそういう結果が出たのか?」など、多くの場合「HOW」から入りますよね。しかし、ここであらためて確認したいのが「なんのためのチェックなのか」「この施策の目的はなんだったのか」ということです。

「昨年の目標を達成すること」が目的だったのか。もしくは、もともと解決すべき課題があり、その解決を目的としていたのか。「採用成功」といっても、なにをもって成功とするのか。まず、そういうことを振り返ることが重要だと思います。

たとえば、「競合他社に勝つ」ことを目的にしていたならば、何をもって勝ちとしていたのか。「自社にとって望ましい人材の確保」という目的であったなら、自社にとって望ましい人材とはどんな人だったのか。「なんのため」という切り口は、漠然としてしまっているような、「分かっていること」と「分からないこと」を明確化するための大切な視点ではないかと思います。

そして、「分からないこと」は、どうやって調べれば分かるようになるのかを考えて、それに基づいてチェックを行うようにすれば、次への施策も考えやすくなるでしょう。

次は、2つ目の視点についてお話ししましょう。


エビデンスから論理的に考える

2つ目の視点は、数字、ヒアリング結果、統計資料から考えていくという視点です。

2.エビデンスから論理的に考える

チェックの際に、客観的事実(エビデンス)を元に論理的に考えるという視点です。

たとえば、採用イベントへの集客数や選考ステップごとの合格者などの採用データ、内定した学生からのヒアリング結果、就職情報サイトで発表している統計資料などの客観的な事実を通して、自社の採用活動はどうだったのかを検証していくことが重要でしょう。

日々の仕事の中では、眼の前の業務に追われながらも、誰かがよいアイデアを出すと、「そうしよう!」と判断して動いてきますよね。

しかし、「それが本当に最善策であり、重要なことなのかどうか」「もっと他の考え方はないのかどうか」、それを改めて検証するためにも、エビデンスを元に論理的に考えていくことは大切だと思います。

そしてもうひとつ、そのエビデンスの影響度・重要度を順位付けしておくのがよいと思います。どのエビデンスが、自社の採用活動に対して一番影響があるのか。自社の採用成功の上で重要なのか。その順位をはかり、意識しておくと、より深くエビデンスの数字が持つ意味を読み取れるようになります。

採用担当者はもちろん、採用関連企業との付き合いもあるでしょうから、統計データを集めて確認できる立場にあるでしょう。採用以外の仕事では、マーケット全体のデータを、そこまで定期的にチェックすることもないでしょうし、採用担当者だからこそできる貴重な経験になると思います。

エビデンスから読み取れることを列挙したり、それを自社の採用プロセスに当てはめて、他の課題はないかどうか検証したりするなど、多角的な活用を行えるようになれば、自身のスキルにもさらに磨きがかかってくるでしょう。

しかし、エビデンスを元に論理的に考えてみても、すべての客観的データが揃うことはなかなかないので、分からないことも出てくるかもしれません。そこは、想像しながら考えてみる必要があるでしょう。「論理的に想像する」ことが重要になってくると思います。

次は、そのあたりに焦点を当ててお話ししましょう。

論理的に想像することが、「PDCA」スキルをさらに磨く

たとえば、「自社にとって望ましい学生はいるのに、自社に応募してくれない。なぜだろう?」と考えてみても、 「応募しない理由」が明記されているようなエビデンスはありませんよね。

その場合、「某社の学生調査でこんなデータがあったな。もしかしたら、自社に当てはまるのかもしれない」など、統計資料やヒアリング結果をもとに想像するしかないわけです。

3.実感や常識から論理的想像力を鍛える

その際に、日常の常識や採用業務の中での実感値を加味することも大切ですが、あくまでも「論理的に考えてみる」ということが重要です。

前ページでお話ししたように、エビデンスごとの重要度を優先順位付けしてあれば、「この事実は、このデータが関係してくるのではないか?」と気付き、少し深く調べてみようという動きにつながったりするものです。

こうしたチェックをしっかり行うことで、次年度への課題が浮き彫りとなり、次の目標も立てやすくなるでしょう。

こうした3つの視点は、採用担当だからこそ身に付けられるものでしょうし、「PDCA」サイクルをきっちり回す経験は、今後の自身のキャリアにも、存分に生かせるものになるのではないでしょうか。

採用、特に新卒採用という業務は、他部署ではできない経験やスキルを身に付ける上で、絶好の環境が整っている場だと思います。


今回の話が、少しでも、皆さんのキャリア形成のご参考になればうれしい限りです。

 

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