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2011/07/12

「見える」データの分析が、採用振り返りですか?―10年後の会社をつくる新卒採用

辻 太一朗(つじ・たいちろう)
(株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

イントロダクション


2013年卒採用は、採用スケジュールが繰り下げになります。特に中堅・中小企業では、これまで通りの採用スケジュールで進めるべきか、不安に感じていらっしゃるという声もお聞きします。

そんな先が見えない不安の中で、予算の関係で、そろそろ採用計画を具体的に数字にしていく必要に迫られている方もいらっしゃるでしょう。

このような状態の中では、目先の不安や、やるべきことに追われて、取りあえず計画を立てていってしまいがちです。しかし、ここは一つ「基本」に立ち返って、しっかり前年の採用の振り返りをすることが大切ではないでしょうか。

とはいえ、単にどのタイミングでどれだけの学生が集まり……といった計測可能なデータを「振り返る」という話ではありません。

今回は、もう少し踏み込んだ「根源的」なお話をします。

そもそも、新卒採用は何のため?

「根源的」という言葉を使いましたが、私は、新卒採用を「10年後の会社をつくる仕事」だと考えています。


 
 
よく「求める人材像」を設定するといいますが、10年後の会社があるべき(あってほし い)姿を想像し、それを実現するには「どんな人材が必要か?」を考える。そして、そ ういう人材を積極的に自ら採りにいく。これが新卒採用だと思っています。

その観点からすると、「10年後の会社をつくる人材を本当に採用できたか」「積極的に 求める人材を採用できたか」を確認し、さらに「来年はどうすればいいか」を考えること が振り返りだといえます。 しかし採用活動の振り返りというと、時系列で、エントリーはどのくらいいて、選考では何人くらいになり、内定者の出身大学はどことどこで、例年と比べて……、などの分析で終わらせていませんか?

しかもその分析は「予算取りのため」「役員報告のため」といった目的で分析していないでしょうか?

これでは、「10年後の会社をつくる人材を本当に採用できたか」「積極的に求める人材を採用できたか」を振り返ることにはなりません。

特に、今年から来年にかけて、時期的な問題をはじめとして新卒採用は大きな変換期に差し掛かっています。

何かが変わるときには、すぐに「どのように対応するか」という手法を考えがちです。そして、まずは目先にあるデータを分析し、そこから何か考えようといった具合に進めてしまいます。

いわゆる5W1Hの「いつまでに(when)、誰が(who)、どうやって(how)」から取り掛かりがちなのです。実際、この3つはすぐに取り掛かることができて、分かりやすいですから。

しかし、本当は「なぜ(why)、何を(what)」がとても重要です。

数字や“見えている事実”だけに注目して振り返るのではなく、「なぜ、どんな人を」採用しようとしていたのか、それに対してのアプローチと結果はどうだったのかを振り返ることが、「なぜ(why)、何を(what)」に通じるものだと思います。

というわけで、採用全体を俯瞰して振り返ってみて、「なぜ(why)、何を(what)」に通じる以下の4つの項目、

 [1]求める人材が
[2]効果的に
[3]十分に集まり
[4]内定承諾したか?

についてぜひ考えていただきたいと思います。


「目的」から俯瞰した振り返りとは?

こうやって文字にすると、何だか当たり前のことのようですが、それぞれの内容について少し補足をしていきます。
 

[1]求める人材が(10年後の会社のために、どんな人材を採用したいと思っていたのか)
 具体的に何年先を見据えて、どのような人を求めていたかということですね。
まさにここが肝心なところです。○年先の会社を考えて自分は具体的にどういう人材が自社にとって望ましいと考えていたのか、それをきちんと言語化できていたか、などを考えてみるということです。

[2]効果的に(費用や人的パワー、社内への効果など)
 「効果的に」というのは、費用や社内も含めた人的なパワーをどのようにかけていたかということです。
もちろん、社を挙げて協力体制を敷いて採用を行っていくと考える企業もあれば、それをよしとしない企業もあることでしょう。どのようなパワーのかけ方が自社にとって効果的なのかを考える必要もあるでしょう。
さらに、採用活動が社内に対してどのような影響や効果を与えていたかという点も考えます。例えば、採用活動に協力することで若手社員のモチベーションが上がったとか、職場全体が活気づいたなど。またはその逆もあるかもしれません。
「自社にとって、今年の採用活動は効果的であったかどうか」を考えてみるということです。

[3]十分に集まり(自社にとって望ましい学生が、十分な数集まったか)
 そして当然、「十分な数が集まったか」ということも振り返る必要があります。
これは、単に数の問題だけではなく、「自社にとって望ましい学生」=「どのような学生が集まったか」という“質”が重要になります。

[4]内定承諾したか?(自社にとって望ましい人材が内定承諾したか?)
 最終的には、「自社にとって望ましいと思っていた人材が内定承諾したか?」ということが、やはり肝心なポイントになります。
望ましいと思っていた人材が、内定を出した学生の中にどれだけの比率いるのか。選考のどの段階で抜けていってしまったのかなども、振り返っておきたいポイントです。


上記の4つを中心に振り返ることで、最終的には「採用活動を通して、会社にどのような影響を与えたのか」を考えるのが、採用の振り返りだと考えています。

自社の振り返り指標を設定するには?

ここからは、実際に皆さんが振り返りを行うとき、どのように基準や指標を設定していくかというお話を。

これまでお話ししてきた通り、データでは見えていないことを振り返っていくので、各社共通で何が分かればいいとは明言できません。場合によっては「分からなくてもよい」ということが答えになるかもしれません。

大切なことは、4つの項目それぞれを、自社では何を基準に、どのように評価するかを考える必要があるという点です。

  ●「求める人材」で「元気」というキーワードが出ていた場合
 

ある企業では、「元気」を「物事に対して活動的に取り組んでいた人」と設定したとします。そのために、「面接では時間の使い方を聞くことで、その学生が活動的かどうか判断する」と想定していたとしましょう。
それであれば、「面接で聞いた時間の使い方の内容が活動的と思える学生がどれだけいたか」「時間の使い方を聞くことで、活動的だと思える学生が採用できていたか」などを振り返ることができるでしょう。

  ●「人材の質を測る」という場合
 大学の成績で測るものとは違うはずです。
では、いったい何で見ていたのか。
面接での評価点だったのか。もしかしたら、明確に点数化することが難しく、面接者の何となくの印象といった曖昧なものの方が的確だった場合もあるかもしれません。それはそれで、振り返って整理してみることに意味があると思っています。



ここまで、抽象的な表現が多くなってしまいましたが、皆さん、ご理解いただけたでしょうか。

 
このような基本概念ともいえるようなことは、明確な指針や基準があるわけではありません。会社の状況や社内の人的パワーをどれだけ新卒採用に割いてもいいと許されているかなどにも影響を受け、企業によってさまざまになることでしょう。

でも、だからこそ、「ウチの場合は、求める人材はどういう人で・そういう人をどのように集め・どんなふうに効果的に進めて・入社まで持っていっていたか」を考える必要があるのではないでしょうか。

特に、求める人材をいかにして判断するかなど、重要なことは分かりづらいものです。しかし、ぼんやりとしていても、とにかく振り返って考えてみることに意味があります。

もちろん、すべての項目を指標として追い掛ける必要はありません。各社の目的に合わせて、どこを重点的に振り返るかといったメリハリをつけて振り返ってみればよいと思います。

2013年卒採用は、まだ見通しが立たず、「何かできることはないか」「8月〜10月くらいの間に何かしなくてはいけないのではないか」と焦りを感じている方も多いとは思います。

それであれば、自社の新卒採用の目的や、これまでの成果・足りていなかったことなどを、2012年卒採用の振り返りを通じて、一度考えてみてはいかがでしょうか?

少々遠回りのようですが、これを行うことによって、他社の動向や過去のやり方にとらわれず、「10年後の会社をつくるための人材を採用する」という本来の目的に合致した2013年卒採用を設計できるのではないでしょうか。

とかく「10年後の会社をつくる」というと、とても考えられない、想像もつかないという方もいらっしゃいます。しかし、将来の自社の成長や変化に、人的側面から携われるのが新卒採用の醍醐味であると、私は思っています。

変革の時代の今だからこそ、変えてみませんか?


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