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2019/09/18

採用活動後半戦の秘策「内定者からのリファラル」―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション

こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。既に学生の内定取得率は9割を超えており、20卒で就職活動をしている学生はかなり少なくなっている状況です。そんな中でもまだ20卒採用を頑張っておられる会社も多いのではないかと思われます。なかなか厳しい状況ではありますが、それでも打つ手はないわけではありません。今回は、これからでもできるような20卒採用の手法について一緒に考えてみたいと思います。

後半戦の難しさは「どこにいるかわからない」こと
これからの20卒、つまり採用活動の後半戦において最も難しいことは、就職活動を続けている学生がどこに存在しているのかがわからないということです。内定をもらっていたとしても、その学生が心の中で「今のところで決めるのはまだ不安だから、もう少し就職活動を続けたいなあ」と思っているのであれば、彼/彼女は採用活動の対象になります。しかし、昨日までもう少し就職活動を続けたいと思っていろいろ動いていたのに、今日「やっぱり、今のところで決めようと覚悟ができた」という気持ちになれば、採用活動の対象外になってしまいます。これは人の心の中の出来事ですので、簡単に推し量ることはできません。

学生のことは学生が一番わかっている
では、どうすればよいのでしょうか。それは、学生のことは学生が一番よくわかっているから、学生にストレートに聞いてみるということです。皆さんの会社で最も近くにいる学生は誰でしょうか。それは現時点で内定を受諾してくれている人です。彼らに丁寧にヒアリングをしてみてはどうでしょうか。「周囲でまだ就職先を決めていない人はいないか」「就職活動に悩んでいる人はいないか」と聞いてみるのです。友人であれば、そういう細やかな実情も把握しているかもしれません。いわば、内定者からのリファラル(紹介)を受けるということです。

内定者へのヒアリングの注意点

内定者自身の「ゆらぎ」に気をつける
ヒアリングの際に注意すべきポイントは、現在の内定者自身の入社確度の高さです。完全に就職活動を終えていて、心のゆらぎのない状態であれば、これから入社する会社のために、自分の同期となるかもしれない人を探すということに対してコミットできると思うのですが、もし内定者自身が不安要因を抱えたままゆらいでいるのであれば、そのような状態で他の人を紹介するというようなことは難しいでしょう。最終的には採用担当者の感覚になってしまいますが、どの内定者にお願いするかは慎重に検討すべきです。

内定者に「誘い方」をきちんと教える
次に注意すべきは、「会い方」です。内定者に対しては「採用目標にまだ達しておらず、よい人がいれば是非紹介してもらいたい」などと、ある程度ストレートに目的を伝えてもよいと思います。しかし、内定者がまだ就職活動を続けている知人にそれをそのまま伝えるわけにはいきませんので、何と言って誘えばよいのかについては、細やかなディレクションが必要です。「自分が内定した会社がまだ採用活動を続けているんだけど、君ならもしかすると興味を持ってもらえるかもしれないと思って、よかったら紹介できるんだけど、会ってみない?」というように、具体的に何と言って誘えばよいのかをきちんと示さなければなりません。

志望動機や持参資料は「なし」が基本
そして、何よりも重要なのは、「気軽な気持ちで会社訪問に行っても大丈夫」ということをしっかりと伝えてもらうことです。今まで就職活動を続けている学生は、就職活動に疲れてもいますし、選考にもたくさん落ちていたりすることもあり自信も失っているかもしれません。そういう人が安心して来社してもらえるためには、極力ハードルを下げるべきでしょう。基本的には、「今の時点でもちろん志望してなくてもいいし、志望動機を聞かれるようなこともないから安心して」「エントリーシートとか履歴書とかも不要ということだから」「なんなら私服で構わないよ」というぐらいのハードルの低さが重要です。初回接触はいわゆる「カジュアルな面談」として、合否の決まる「面接」ではないとする。まずは気軽に会ってみて、よかったら正式に応募してもらう、くらいの順序がよいでしょう。

「カジュアルな面談」のポイント

「面接」よりも「面談」は難しい?
採用担当者にとっては、枠のしっかり決まった「面接」という会い方の方がおそらく楽なのではないかと思います。学生が、きちんと受験をするつもりであれば、こんな楽なことはありません。一方で「カジュアルな面談」は、要は「しっかりとした雑談」をするようなもので、フリースタイルですのでむしろ難しい。「自己アピールをお願いします」「あなたの強み、弱みはなんですか」「学生時代に力を入れてきたことを教えてください」「志望動機を教えてください」という、いつもの質問を型通りにすればよい面接と違い、面談は流れに応じて柔軟にいろいろな話をしなければいけないからです。

ふつうのことをふつうにすればよいだけ
ただ、よく考えると、ふつうに日頃人に初めて会うときにすることを、ふつうにすればよいとも言えます。皆さんは初めての人に会ったときにどんなことをしますでしょうか。おそらく、天候の話や世間話などから始めて、軽く自己紹介をしながら、徐々に核心に迫っていくような話の流れを作るのではないでしょうか。リファラルからのカジュアルな面談につなげる流れというのはこれと全く同じことです。変に気張って特別なことをするのではなく、初対面の人と相互理解を深めて、仲良くなっていくといういつものプロセスを愚直に実行すればよいのです。

最初から就職活動の話は極力しない
しかしながら、そうは言うものの、大きな枠組みの中では就職活動/採用活動の一環であることには変わりなく、社会人である採用担当者側はリラックスできたとしても、学生側はなかなかそうはいかない可能性も大です。ですから、いつもよりも緊張をほぐす「アイスブレイク」は強めに行ってもよいでしょう。いくらカジュアル面談とはいえ、初対面の就職活動学生と会うと、どうしても話題は就職活動になってしまいがちです。しかし、後半戦の学生と就職活動の話をすると、どうしても不合格の履歴だらけの暗い話になってしまいがちで、最初の話としてはあまり適していません。むしろ、「何を勉強している方なんですか」「大学ではどんなことをやってきた人なんですか(一番力を入れたこと、とかではなく、あくまで気軽に)」などから始める方がよいと思います。

情報インプットはこちらから
また、ふつうの応募者であれば、事前にいろいろ研究してきているために、情報提供の仕方は「質問に答える」という形式でも問題ないかもしれません。しかし、リファラルで気軽に来社した学生に「何か質問あったら答えるよ」は酷な話です。そうではなく、プレゼンとまではいかなくとも、採用担当者の側から、自分自身のこと、なぜこの会社に入ったのか、今やっている仕事、どういう組織風土なのか…等々、「問わず語り」で情報提供をしてあげる方がよいでしょう。そうしているうちにある程度興味関心がわいてくれば、自然に相手から質問が出てくる、そんな状態が理想です。

マッチングした場合の終わり方
さて、最後は終わり方です。カジュアル面談とはいえ、人と人が会えば、自然にお互いを評価しているものです。面談が終わる頃には、「この人はうちに向いているかもしれないな」とか「この人はおそらくうちには興味を持たない、もしくは向いていないな」という感覚が出てくると思います。もし「うちに向いている」と思ったら、「もしよかったら、正式に受験をしてくれませんか。ぜひ検討してください。ご紹介者を通じてご連絡いたしますね(直接でも構いませんが)」という感じで進めます。

マッチングしなくてもきちんと誘うのが礼儀
もし「向いていない」と思った場合も実は対応はほぼ同じで「もしよかったら正式に受験をしてくださいね」というのは礼儀でしょう。また、受けて来られた場合は、正式な面接を設定してあげるのも必要だと思います(一度のカジュアルな気を抜いた面談で評価しきるのはかわいそうです)。ただ違うのは、「向いているな」と思った場合よりも「必要以上に追わない」ということだけです。そして、後は応募があれば粛々と通常通りの対応をしていくということです。

以上、後半戦で最も効果を出せる手法の一つである「内定者からのリファラル」について述べてみました。もし、リレーションがあるのであれば、これは内定者だけではなく、内定辞退者に対して行うことも可能です(辞退者と採用担当者のリレーション次第ですが)。是非ご検討いただけましたら幸いです。

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