メンタルヘルス失調予備軍の見分け方は?育てる/定着・育成

Q

メンタルヘルス失調予備軍の見分け方は?


最近、若手社員を中心に、メンタルヘルスを失調する方が目立ちます。まだ表面化していない人も含めれば、相当数の予備軍が存在しているのではないかと…。
こうした傾向を抱えた人材を採用することは、企業としてさまざまな面でリスクとなり得ます。

私自身、個人のこうした傾向は生来の性格的な要因が大きく、入社後の教育で変えていくことは非常に困難であると、長年の経験を踏まえた上で感じています。

結局、企業としてはメンタルヘルス失調のリスクを抱えた人材を、なんとか入社前の段階で判断するしかないのですが、時間や回数が限られた選考の中で見極めるのは、そもそも無理があるように思います。

何か、よいアイデアや事例がありましたらご紹介ください。

( 不動産/従業員規模 1000~3000人未満/採用業務経験 3~5年 )

Q
ストレスを調整する要因に着目しましょう。

メンタルヘルスの不調が起こる原因は、ストレッサーとストレス調整要因に分けて考えます。

メンタルヘルスが不調になる構造

ストレッサーとは、ストレス要因になるもののことです。例えば、膨大な仕事量、経験のない仕事への取り組み、担当者としての責任、将来への不安などです。これらはすべてストレッサーとなり得ます。

誰もが何らかの形でストレッサーによるストレスを感じながら生活しています。
しかし、多くの人はストレッサーに直面しても、いきなりメンタルヘルスが不調に陥ることはありません。
それは、ストレス調整要因が働いているためです。

ストレス調整要因とは、言葉の通りストレスを調整する要因のことで、メンタルヘルスが不調になる抑止力となるものです。

ストレス調整要因は、個人的な要因と社会的な要因に大別できます。

個人的な要因とは、生来のストレスの感じやすさ、自信の程度、ストレスを解消する行動が取れるか、などを指します。社会的な要因とは、周囲の人に慰めてもらったり、行動を助けてもらったり、助言をもらったりすることを指します。

メンタルヘルスの不調とは、ストレッサーとストレス調整要因のバランスが崩れたことにより起こると考えられています。まずこの構造を押さえておきましょう。

さて、ご質問の件ですが、質問者の方がおっしゃっている「生来の性格的な要因」に関連する指標として、性格についての有名な理論である「ビッグ・ファイブ」のひとつにある、情緒安定性という性格特性が知られています。これは、性格テストにより測定することが可能です。

ただし、気をつけなければならないのは、本来、性格特性はそれ自体が良い、悪いを示すものではないということです。
準備万端整えたり、間違いがないか、よく見直しをしたりするような業務や仕事の場面では、心配性の性格がむしろ適するケースもあるわけですから、判断は慎重におこなう必要があります。

また、先ほど申し上げたように、メンタルヘルスの不調は生来の性格だけが理由になるわけではありません。

社会的要因となる職場環境はもとより、個人的要因としての自信の程度、ストレスを解消する行動が取れるか、といったことが大切になります。

これらの個人的要因は後天的だと考えられます。すなわち、育成したり強化したりすることができるということです。生来的にストレスを感じやすい性格の人でもメンタルヘルスが不調にならないのは、社会的要因とともに、これらの後天的な個人的要因を伸ばし、ストレスを調整しているためと考えられます。

採用活動では、性格テストなどを用いてある程度の審査をすることが検討できると思います。また、入社前後には自信を強めたり、ストレスを解消する行動を促したりする施策が検討できると思います。

職場環境におけるサポート、仕事内容などによる対処も交え、自社でできることを検討されてはいかがでしょうか。
ページトップへ