内定者フォロー:心を開いてもらう動機づける/内定フォロー

監修:曽和利光(組織人事コンサルタント)

概要

フォローで入社の意思を決定してもらうためには、相手の心の中にある「心理的事実」を知らなければならないが、そのためには、相手に心を開いてもらわなければならない。企業の側から誠意を持って歩み寄り、「自己開示」しつつ、「候補者のことを第一に考えて、自社と他社のどちらがよいのかを、ともに考える」というフラットなスタンスで対応するように心がける必要がある。

 

 

1.採用面接と内定フォローの違い

内定を出した学生に確実に入社してもらうためには、内定後のフォローが欠かせません。面談などを通じて、内定者と直接話をしていくことになりますが、採用面接と内定後のフォローでは、学生に対する向き合い方や知るべき情報がまったく異なります。

面接の際に見極めなければならないのは、その学生が過去にどのような行動をとってきたかという「客観的事実」です。つまり、本人が「どう思っているか」よりも「何をしてきたか」のほうがより重要ということになります。

一方、フォロー場面においては、目の前の学生が今、内定を得てどのような気持ちでいるのか、あるいは仕事やキャリアに対してどういった指向をもっているのかという、いわば「心理的事実」が重要になります。学生の心を動かし、入社へと導くためには、彼ら・彼女らの心の中にある「心理的事実」を知らなければならないのです。

 

2.「心理的事実」を知るためには

内定者の「心理的事実」を知るといっても、人は他人に対して、心の中の気持ちや考えを簡単には明らかにしないものです。そのため採用担当者は、まず内定者に心を開いてもらえるよう努めなくてはなりません。採用担当者を信頼し、心を開いてもらうためには、以下のようなスタンスと工夫で内定者に向き合うことがポイントとなります。

 

①採用担当者自身が自己開示をする

自分は心を閉ざしておきながら、相手にだけ「心を開け」というのは、そもそも無理な要求です。まずは採用担当者自身が、内定者に対して自己開示をするという姿勢をもちましょう。

内定者との面談などの際に、相手から話を聞き出そうとばかりするのではなく、自分が大切にしている価値観や、その価値観が形成されたきっかけ、あるいはちょっとしたコンプレックスなどについて話してみるとよいでしょう。内定者との共通点がありそうなテーマで自己開示ができると、より共感を抱いてもらいやすくなります。

まずは自分から心の内を見せようという姿勢をもつことで、ようやく相手も、「この人になら話してもいいかもしれない」と思ってくれるのです。

 

②フラットに相談に乗る

内定者と向き合う際にもう一つ重要なのは、「フラットに相談に乗る」というスタンスです。

内定フォローの目的はもちろん、目の前の内定者に入社を決めてもらうことですが、「なんとか自社に入社してほしい」という気持ちが見え隠れすると、内定者は身構えてしまうものです。一度警戒されると、自社についていろいろな話をしても、「自分を入社させるために大げさに言っているのではないか」「作り話ではないだろうか」と疑われてしまうかもしれません。

内定者に信頼感をもってもらうためには、採用担当者としての目的はいったん脇に置いて、一人の社会人の先輩として、あるいは就職活動の経験者として、内定者が抱えている迷いや不安、疑問などを何でも聞こうという姿勢をもつことが大切です。

 

③「興味加減の法則」を知る

心理学の世界には、「興味加減の法則」といわれる心理バイアスがあり、相手に対する関心が薄い方が強い交渉力をもつといわれています。平たくいうならば、「追えば逃げる、引けば来る」ということです。採用において、内定を出した瞬間に、それまで学生を選ぶ立場にあった企業側が、急に学生に選ばれる立場に変わるという現象も、このバイアスが関係しているといえます。

内定フォローにおいても、「是が非でも自社に入って欲しい」という勢いであれこれ説得しにかかると、内定者が引いてしまい、逆効果になりかねません。

②の「フラットに相談に乗る」というポイントにも通じることですが、「あくまで内定者のことを第一に、自社と他社のどちらがよいのかをともに考える」という姿勢を見せることで、相手の本音を引き出せるばかりか、自社をより魅力的に感じてもらうことができるでしょう。

 

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