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2019/05/24

「高い内定辞退率」が生み出す問題への対処方法―採用活動の教科書・応用編―

曽和 利光(そわ・としみつ)
1995年(株)リクルートに新卒入社 、人事部配属。
以降、一貫して人事関連業務に従事。採用・教育・組織開発などの人事実務や、クライアント企業への組織人事コンサルティングを担当。リクルート退社後、インターネット生保、不動産デベロッパーの2社の人事部門責任者を経て、2011年10月、(株)人材研究所を設立。現在は、人事や採用に関するコンサルティングとアウトソーシングの事業を展開中。

イントロダクション

こんにちは。組織人事コンサルタントの曽和利光です。今回は内定辞退率をいかに下げるかということについて一緒に考えていきたいと思います。

就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によれば2019年3月度(卒業時点)での内定辞退率は、67.8%と実に約7割の内定者が辞退をしているという状況です。もちろんこの数字は全体の平均ですので、採用ブランド力の高くない会社であればさらに高い辞退率であってもおかしくありません。

このように高い内定辞退率では、採用目標に到達できないという問題はもちろんのこと、ある程度採用活動がうまくいっていても、採用枠に制限がある場合(そういう会社が当然ながらほとんどだと思いますが)、「今、内定している学生がいつ辞退するかわからない」「だからと言って、採用目標を大幅に超える学生に内定出しをしてしまって、万一全員来てくれたらどうしよう」と、採用目標にぴったり合わせて採用をすることが難しいという問題まで生じています。採り過ぎないように内定を少なめに出していたら、予想よりも辞退率が高くて、結局採用目標に届かない、こんなことであれば、もう少し多めに内定を出しておくべきだった、という怨嗟の声もよく聞きます。

このように内定辞退率が高いことでいろいろな問題が生じるわけですが、最も根本的な解決策は、「能力的にも志向的にも自社にフィットした学生を探し」「適切な動機付けを行って、入社意向を上げる」ということでしょう。そのためには、究極的には、求める人物像を見直したり、採用担当者の「採用戦闘力」(候補者のことを適切に見極め、言葉や行動で候補者に影響を与えることができる力)を高めたりするしかありません。

しかし、この根本的解決を行うには労力もたくさんかかるでしょうし、時間もかかるのですぐにできるわけではありません。では、今から、今年の20卒採用活動においてもできる「高い内定辞退率への対処」はないのでしょうか。いくつかすぐにできて、即効性のある施策がありますので、それについてご説明をいたします。

 

「最終面接」と呼ぶ必要性はあるか

最も重要なことは内定の出し方についてです。ポイントは「むやみやたらに、簡単に内定を出さない」ということです。人は簡単に得たものに対しては価値を低く見る傾向がありますし、内定は一種の労働契約ですので一度出したら会社側から取り消すことはほぼできません。それを踏まえて行うべきことを二つ述べます。

(施策1)「最終面接」と簡単に呼ばない
皆さんの会社では、「最終面接」という言葉を使っていますでしょうか。もし使っているのであれば、可能であればやめてみてはいかがでしょうか。「最終」面接と呼んでしまうと、当たり前ですが、候補者にとって最後の面接にしなければなりません。つまり、その面接で会社としての最終判断を出して伝えなくてはならないということです。

しかし、実際には、「何回か面接をしてきたが、まだ確信を持って評価できない。もう少し話を聞きたい」ということもあるでしょうし、「確かに能力や性格などの観点からは自社に欲しい人材であると思うが、現時点でまったく入社意思は定まっておらず、このタイミングで内定を告げても受諾してもらえるイメージがない」ということもあるでしょう。

そうであれば、評価であれ、動機付けであれ、もう一度候補者と会って話をする機会を作るためには、「最終面接」と簡単に言わないことです。ただ単にふつうに「●回目の面接」と呼べばよいだけです。社長や経営者が出てきて、候補者にとって明らかに最終面接っぽい面接であっても、「うちはその後、意思確認の面接がある」としておけばよいと思います。

そうしておけば、実質の最終面接が終わった後も、候補者に対して「前回の面接は合格です。つきましては、次の面接に進んでもらいたいので是非お越しいただけませんか」と打診することができ、その場で再評価を行ったり、動機付けのための情報提供を行ったりすることができるわけです。

不思議なもので学生は「面接」であれば来るのですが、「お話ししよう」ではなかなか来てくれません。また、性格や能力をジャッジする面接はどうしても相手を詰問するような場になってしまいがちですが、動機付けのための面接の場は会社側からのインプットも多いですし、和やかな雰囲気で行いやすいので、その点でも候補者に好印象を与えることができると思います。なかなか評価と動機付けは同時にしにくいのですが、このように分けることで、動機付けをする担当者も安心して動機付けに集中できます。

 

「内定」と呼ぶ必要はあるか


(施策2)「最終面接合格」と「内定」を分ける
次にできることは、「内定」or「不合格」と二者択一の最終面接結果にするのではなく、「最終面接合格」というもう一つの最終面接結果を作っておくということです。

要は、「能力や性格などから、自社にとって入社して欲しい水準を超えている」というシンプルな結果です。内定とは先述の通り「労働契約」ですが、これは違います。「内定を出して、入社する権利を付与するレベルにはある」と言っているだけで、「あなたのために席を開ける」とは言っていません。そうでなく、「もし、あなたが、自社への入社意図を固めてくれたのであれば、内定を出す準備があります」ということです。

もし、内定を出してしまうとありがちなのは、候補者の側から「持ち駒」扱いされてしまうことです。内定を会社側から取り消すことができないことを知っている候補者は「内定」=「その会社への就職活動の終了」=「他の会社へ就職活動のパワーを振り向ける」という思いとなり、内定を出したがために自社がその内定者に情報提供をしようとアポを取ろうとしても、来てくれなくなることも珍しくありません。

ところが、この「最終面接合格」という選択肢を作っておくだけで、採用側は候補者に情報を提供する機会を持ちやすくなります。トークイメージは以下の通りです。

「私(採用担当者)としては、あなた(候補者)に是非入社をしてもらいたいと思っており、内定を出したいし、受諾して欲しい。ただ、採用には枠があって、多くの人に内定(つまり入社権利の確約)は出せない」

「ついては、あなた(候補者)ができるだけ早く意思決定をできるように、こちらとしては一生懸命必要な情報を提供するつもりなので、是非いろいろな人に会ったり、話を聞いたりして欲しい」

注意すべきは、候補者に「オワハラ(就職活動終われハラスメント。半ば脅迫的に自社への内定受諾を強要すること)」と誤解を与えないようにすることです。そのためには、会社都合ではあることにはかわりないのですが、「採用には枠があること」「内定は多くの人には出せないこと」を背景も含めて理解してもらうことは必要です。学生にとっては厳しいことではありますが、企業も採用は生死をかけた活動です。誠実にお話しすることで、こちらの事情も理解してくれる(共感はしないでしょうが…)と思います。内定辞退の可能性のある人に内定を出すということは、他に内定を出せたかもしれない学生のチャンスを奪うことにもつながるということを分かってもらえれば、問題になることはないでしょう。

以上、今回はプロセスを工夫するだけで、内定辞退の問題のいくつかを解決できる対応策について考えてみました。「やる」と決めて実施すればできる施策ですので、ご検討していただけましたら幸いです。

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