説明会に用意すべき7つのトピック―「仕事のやりがいは何ですか?」という問いに最適な話題を選ぶ ―

皆さんは学生に“やりがい”を問われた時、「自らが伝えたいこと」を「事実のまま」話してはいませんか?特に説明会の場では、学生の習熟度を考慮したトピック選びと共感を呼ぶストーリーの提示が大切です。今回は採用担当者が事前に考えておくべき7つのトピックをご紹介したいと思います。

イントロダクション

皆さん、こんにちは。採用・育成コンサルタントの小宮健実です。

 

いきなりですが、質問です。

 

ある大学のイベントで、採用担当者であるあなたに、学生から 「貴社での仕事のやりがいについて教えてください」 という質問がありました。

 

あなたの頭の中に、3つの話題が思い浮かびました。

 

1. 自社の顧客が世界中にいて、グローバルに事業展開している話
2. 仕事を通じてお互いを思いやる社風が感じられる話
3. 仕事で自分が担当したお客さまから感謝されたときの話

 

さて、あなたはどの話題を選んで学生に話を始めますか? 採用広報の戦略として考えてみてください。

 

この問いの答えを考えるために、それぞれの話題がもたらす学生の 「理解と共感」 について考えてみましょう。

 

「理解」 とは 「何について理解できたか」 という意味です。「共感」 は「いかに自分ごととして感じられるか」 という意味です。 話題の選び方だけでなく話し方も 「共感」 の醸成に影響します。
共感が強ければ強いほど、採用広報戦略として効果的だったといえます。

 

今回は、私たちが説明会に用意すべき7つの話題 (何について理解してもらうか) と、共感のもたらし方についてお話していきたいと思います。

説明会に用意すべき7つのトピック

では、説明会に用意すべき7つのトピックについて説明します。

 

(1) 企業理解に関するトピック
会社概要に代表される、企業データです。社員数、売上、創業からの経緯などがこれにあたります。
就職活動を始めたばかりの学生には必要な情報です。星の数ほどある企業について調べ始めた時、まず手がかりになるのは 「比較ができる」 情報だからです。
一方で、就職活動慣れした学生には、(ネットで調べられる情報なので) 時間の無駄として嫌われます。
業界の説明(業界規模、ビジネスの展望、最新ニュースなど)も、このトピックに含まれます。

 

これらの情報は、学生が一生懸命メモをしていたとしても、本質的な惹きつけ効果は高くありません。 ただし、創業時の話などを物語的に話すことによって、自社のフィロソフィーやDNAを伝えることは可能です。

 

(2) ナンバーワン・オンリーワンに関するトピック
(1)から派生して、シェアや満足度、売上、企業規模、取引先数など、何かのランキングでナンバーワンだという情報です。
(1)で述べた通り 「他社との比較」 で企業研究を始めた学生に、ナンバーワン情報は直接的な影響力を持ちます。
これらの情報は、就職活動に対する習熟度が進み、仕事のやりがいや自らのキャリア形成などに思いが至ると効果が薄れますが、それまでは惹きつけ効果を発揮します。

 

(1)(2)の話題は、企業選択の安心感につながることもあり、学生の保護者や担当教員の人たちに効果的です。 特に保護者や担当教員の影響を受けやすい高校生、高専生、理系の学生の採用には効果が高いでしょう。

 

(3) 働きやすさに関するトピック
モバイルワーク制度、フレックス勤務制度、育児休業、介護休業、教育制度、評価制度、社内公募制度、家賃補助や保養所など福利厚生、転勤時の支援など、働きやすさに関する情報で、これらも 「他社との比較」 に使われやすい情報です。
これらの情報は学生がよくメモを取り、気も惹きますが、最後の決め手になるには弱い情報です。
ただし、決め手にならないと思って情報発信しないと、思わぬところで損をすることがあります。
損をしないように情報発信をしておくことが大切です。

 

(4) DNA、社風理解に関するトピック
(4)以降は、単純に 「他社との比較」 にはならない話題です。
DNAや社風を伝えるには、シンボリックなもの (創業者の言葉やクレド、伝統的な社内用語など) や、それが具現化されたエピソードが必要です。ただしそれらを用意したとしても、働いたことのない学生にはかなり伝わりづらい情報だといえます。
採用担当者もなるべく伝えたいと思い、学生もよく知りたいと思うのに反し、多くの場合 「風通しが良く……自由闊達で……」 のように、抽象的で説得力に欠け、差別化できない結果になりがちです。
言葉で説明するよりも、直接体感することで伝わるトピックでもあります。

 

(5) ビジネスモデル・職種説明に関するトピック
自社が社会にどのような価値を創出して利益を得ているかという情報です。
(5) 以降は、最終的に学生に 「決めてもらう」 レベルの惹きつけの強さを持ち得ます。
もちろん、ただ○○をつくっている、というような説明では学生は惹きつけられません。
私たちのつくった○○が、□□□□の役に立っている、というように創出する価値について説明をすることが大切です。
特にB to B企業は、 「お客さまのお客さま」 レベルまで含めて価値の創出を説明するなど、このトピックについて強く発信するべきです。

 

職種説明の場合も同様です。どんな作業をしているかを発信するのではなく、どんな価値を創出し誰の役に立っているかという観点で説明をすることで、共感を醸成することができます。

 

(6) 働きがい・仕事説明に関するトピック
働きがいは、抽象的な言葉ではなく、個別具体的な仕事のエピソードによって伝えることが極めて大切です。
仕事の説明もその過程で行うことができます。聞いている学生に仮想体験をしてもらうことで、共感を醸成できます。
そのためには、なるべくその状況を具体的にイメージできるように、物語として伝えることがポイントです。
共感を醸成することに成功すると、学生がその話を 「自分ごと」 として捉えられるようになり、非常に強い惹きつけ効果が得られます。(5) と続けて話すことで、相乗効果を得ることもできます。

 

(7) 自分に関するトピック
採用担当者は、会社のことだけでなく、自分についても話す機会が多くあります。
「○○さん個人のことをお聞きしてもよろしいですか?」 というのは、就職活動中の学生が質問時によく使う枕詞です。
そういった時に備えて自分のトピックとして用意しておくべきことは、学生時代から今に至るまでのキャリアの節目や転機の時の話です。
こちらもやはり物語的に語ることによって、学生にそのキャリア選択のイメージを持ってもらい、共感を醸成することができます。

7つの話題と「自分ごと」の関係

ここまで、説明会に用意すべき7つの話題について紹介してきました。

(1) 企業理解に関するトピック

(2) ナンバーワン・オンリーワンに関するトピック

(3) 働きやすさに関するトピック

(4) DNA、社風理解に関するトピック

(5) ビジネスモデル・職種説明に関するトピック

(6) 働きがい・仕事説明に関するトピック

(7) 自分に関するトピック

 

学生の就職活動の習熟度合いによって、どのトピックを提供すべきかが変わってきます。 (1)〜(3) は、企業比較をしている段階に必要な話題です。
(5)(6) は、キャリア選択のレベルまで習熟してきた学生には、自社に決めてもらうことを目指す 「惹きつけ効果」 の高い話題です。

 

また、私の説明の中に 「物語」 という言葉が何度も登場していることに気付いた方がいると思います。 どのトピックも物語的に情報発信することによって、聞いている人にリアルなイメージを抱かせ、「自分ごととして感じられる」 状態をもたらすことができます。

 

最後に、冒頭の質問の選択肢をもう一度見てみましょう。

1. 自社の顧客が世界中にいて、グローバルに事業展開している話

2. 仕事を通じてお互いを思いやる社風が感じられる話

3. 仕事で自分が担当したお客さまから感謝されたときの話

 

1は、単に事業の説明をしているならば (1)企業理解に関するトピック、もしもそこで創出している価値などの説明を適切にすれば (5)ビジネスモデルのトピックということになります。 2は(4)社風理解のトピック、3は(6)働きがいのトピックにあたります。

 

聞いている学生の習熟度に合わせる必要があるのはすでに述べているとおりですが、1 は話の展開次第で、3 は社員の個別具体的な仕事のエピソードを物語的に伝えることに成功すれば、強い惹きつけ効果を狙えます。 2 はまた別の機会に働きがいの話題を伝える必要があるでしょう。

 

さて今回は、説明会に用意すべき話題の整理と、共感のもたらし方について説明してきました。

 

2016年卒採用では採用スケジュールの変更により、説明会の開催の仕方にも影響が出ると思われます。 例えば何社も面接を受け内々定も持っている学生と、まだ企業の情報収集をしている段階の学生が一緒に座っているような場で、自社の説明をしなくてはいけないかもしれません。

 

そのような場では、座っている学生に合わせ、その場で柔軟に話題をコントロールすることが求められます。

 

今回ご紹介したように話題の選択と共感のもたらし方を整理しておくことは、きっとその役に立つと思います。

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小宮 健実(こみや・たけみ)
小宮 健実(こみや・たけみ)
1993年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。 人事にて採用チームリーダーを務めるかたわら、社外においても採用理論・採用手法について多くの講演を行う。さらに大学をはじめとした教育機関の講師としても活躍。2005年首都大学東京チーフ学修カウンセラーに転身。大学生のキャリア形成を支援する一方で、企業人事担当者向け採用戦略講座の講師を継続するなど多方面で活躍。2008年3月首都大学東京を退職し、同年4月「採用と育成研究社」を設立、企業と大学双方に身を置いた経験を生かし、企業の採用活動・社員育成に関するコンサルティングを実施。現在も多数のプロジェクトを手掛けている。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

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