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2014/05/28

2015年卒採用マーケットの現状―最新『ワークス大卒求人倍率調査』を読み解く―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。就職みらい研究所所長の岡崎仁美です。

もうすぐ6月。採用に携わる皆さんに2015年卒採用の進捗状況をうかがうと、「ようやく一段落し振り返りに着手中」「ここまでの戦績を踏まえて軌道修正中」「今後の本格始動に備えて最終調整中」……などさまざまな答えが返ってきます。

しかし、採用環境の明らかな変化については、共通して強く実感しておられるように感じます。

そこで今回は、リクルートワークス研究所の『第31回 ワークス大卒求人倍率調査(2015年)』を読み解きながら、採用担当の多くの皆さんが肌で感じている“変化”の実際をお伝えいたします。 






求人倍率は“氷河期を脱した”2006年卒水準に!

まず、大卒採用の需給バランスを示す「求人倍率」を見てみましょう。

この大卒求人倍率は、民間企業の採用予定数(大卒)を、民間企業就職希望の大卒予定者数で割って算出しています。ここでいう「大卒」には、大学院卒も含んでいます。

最大のトピックは、リーマン・ショック以降1.3弱の水準で推移していた求人倍率が、一気に上昇し1.61に上ったことでしょう。

これは、“10余年の長きにわたる就職氷河期を脱した”とされる2006年卒並の水準です。


■求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移
※クリックすると拡大します


もう少し詳細に、まずは求人倍率の分子である「求人総数」を見てみましょう。

リーマン・ショックの後、求人倍率は東日本大震災の影響を受けた2012年3月卒を底に、2013年卒、2014年卒と2年連続で微増しましたが、求人総数はずっと減少が続いていました。

ところが今回、最新の2015年卒では増加に反転、しかも対前年+13.9万人、率にして+25.6%と、一気に伸びたのです。


■求人総数の推移


その内訳を見てみましょう。

従業員規模別では、従業員数300人未満の中小企業の伸びが顕著で、対前年+11.7万人(+44.5%)と大幅に増加しています。

300〜999人の中堅企業が対前年+1.5万人(+11.9%)、1,000〜4,999人の企業が同+0.5万人(+4.5%)、5,000人以上の企業が同+0.2万人(+5.0%)であることと比較すると、その影響の大きさが一層実感されます。


■従業員規模別 求人数の対前年増減率

■従業員規模別 求人数の対前年増減数の推移


しかし、いくら景気回復基調が見られるからといって、中小企業の採用数が1.5倍に増えるというのは、少々ピンと来ない、という方もおられるでしょう。実際、2015年卒の採用予定数を大幅に増やしている企業は、どちらかというと規模の大きい企業に目立ちます。

ご承知の通り、中小企業の数は圧倒的に多い反面、新卒採用を実施する企業は限定的です。2015年卒では、この“新卒採用実施率”が、2014年3月卒(実績)の10.1%から14.3%(予定)に伸びました。

つまり、中小企業の求人総数増加は、新たに採用戦線に参加する企業の裾野が広がることによる影響が大なのです。


■従業員規模別 新卒採用の実施企業割合 (大学生・大学院生)


業種別でも見てみましょう。

どの業種でも対前年二ケタの伸びを示していますが、特に伸び率が大きいのは建設業で、対前年+2.3万人(+38.0%)です。

実数の伸びが最も大きいのは流通業で、対前年+5.1万人(+23.5%)、次が製造業で、同+4.7万人(+24.9%)でした。


■業種別 求人数の対前年増減率

■業種別 求人数の対前年増減数の推移


これらは雇用吸収の二大業種といえ、大卒求人68.3万人のうち、流通業が38.9%、製造業が34.7%をそれぞれ占めています。


20年で従業員1000人以上の企業の求人倍率は約2倍に。

次に、先ほど見てきた求人数と、学生の意向=就職希望者数との差、すなわち人材の過不足数について、見てみましょう。

まず従業員規模別で、最も不足数が多いのは300人未満の中小企業です。

この規模の企業への就職を希望する学生数は前年+3,300人(+4.1%)とわずかに増加しましたが、それを大幅に上回る求人数の伸びがあったため、このゾーンでは29.5万人の不足となっています。

求人倍率に換算すると4.52倍と、1人の中小企業志望者に対し、4.52件の中小企業求人が存在するという需給バランスです。


■従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (300人未満)


従業員数300〜999人の中堅企業も、需給バランスは「不足」です。

求人総数14.2万人に対し、就職希望者数は11.9万人。2.3万人の不足となり、求人倍率も2年連続で1倍を超えました。


■従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (300〜999人)


一方、従業員数1,000〜4,999人の企業、5,000人以上の企業は、いずれも求人総数を上回る希望者数となっています。

1,000〜4,999人の企業では2.2万人の超過で、求人倍率は0.84倍、従業員数5,000人以上の企業では3.7万人の超過で、求人倍率は0.55倍。従業員数5,000人以上の企業については、希望学生の半数近くが、このゾーンのどこにも入れないといったバランスです。


■従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (1,000〜4,999人)


■従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (5,000人以上)


■従業員規模別 求人倍率の推移



こうして見ると、中堅・中小企業の採用担当者の中には、先行きを悲観する方もおられるでしょう。

確かにこの数年でいえば、学生の大手回帰が進んでいるといえますが、実は長いスパンで見てみると、従業員数1000人以上の企業の求人倍率は漸増傾向なのです。


■従業員規模別 求人倍率の推移 (長期時系列)
注)従業員規模別データは2010年卒より4区分で抽出。それまでは1,000人未満/1,000人以上の2区分
※クリックすると拡大します


学生の皆さんと話をしていると、大手か否かといった単純な基準ではなく、さまざまな角度から企業を吟味する傾向が強まっていると感じることがしばしばあります。

実際に、この20年で従業員数1,000人以上の企業の求人倍率は、0.32倍(1996年卒)から0.73倍(2015年卒)と2倍以上に増加しています。

この数字からは、「学生の大手離れが進んでいる」ととらえることもできるのです。

情報公開による潜在層掘り起こしで倍率格差を超える

業種別の過不足および求人倍率はどうでしょうか。

建設業、製造業、流通業はいずれも需要が供給を上回る状態です。

それぞれ6.9万人、8.8万人、流通業に至っては21.7万人もの不足があり、求人倍率もそれぞれ5.61倍、1.59倍、5.49倍。特に建設業と流通業は希望者1人に対して5つ以上の求人があるという、かなりの需給不均衡が見られます。


■業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (建設業)


■業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (製造業)


■業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (流通業)



一方、金融業とサービス・情報業は、それぞれ4.1万人、7.3万人の超過。

求人倍率もそれぞれ0.22倍、0.54倍と、需給バランスからいえば「買い手」の市場です。

特に金融業は、長期時系列で見た場合に唯一求人倍率がさらに低下している業種であり、金融業界全体の求人総数が減少しているにもかかわらず、希望する学生数は一定数をキープしている中、ますます狭き門となっていることがうかがえます。


■業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (金融業)


■業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移 (サービス・情報業)


■業種別 求人倍率の推移 (長期時系列)
※クリックすると拡大します



従業員規模別・業種別で需給バランスが大きく異なるというこうした現実を、求人倍率が高い=売り手市場ゾーンに所属する企業は、どうやって乗り越えていけばよいのでしょうか。

例えば求人倍率が高止まりしている流通業を希望する学生は、民間企業就職希望者42.3万人の約11%(4.8万人)です。

では残りの89%(37.5万人)は、この業界への就職を拒絶しているのでしょうか。

この調査では、その点をカバーしてはいませんが、日頃学生の思考や行動に触れる中で、必ずしもそうではなく、「積極的に希望してはいない」人が多くを占めるのではないかと考えています。

学生の皆さんに、就職希望企業/業種を知ったきっかけを尋ねると、「そこの商品を使っている」「TVCMで知った」などとともに、「家族や親戚が勤務しているから」という声も非常に多く聞かれます。

裏を返せば、各業種を現在希望していない学生の中には、「知らないから希望しない(できない)」“潜在層”が少なからず存在する可能性があるのです。


今、さまざまな方面で「情報公開」の必要性が一層強く訴えられています。

採用の場面においても、情報公開のさらなる積極化やその手法・切り口などの工夫によって、潜在層を掘り起こし、自社の志望者を育てる視点が必要なのかもしれません。


今回は、大卒採用のマクロ環境を把握する目的で、リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率」を見てまいりましたが、
私たち『就職みらい研究所』でも独自の調査・研究を続けています。

今後もそれらの情報も積極的に提供し、皆さんの採用成功の一助になるべく活動していきます。

 



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