2014/03/25

2015年卒採用戦線本番を占う!―『就職白書2014』からの考察―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。リクナビ編集長・就職みらい研究所長の岡崎仁美です。

圧縮スケジュール3年目にあたる2015年卒生の採用戦線も、いよいよ面接選考が本格化する時期を迎えました。

今年は、景気回復を背景に多くの企業が採用意欲を高めていることに加え、翌2016年卒採用ではさらなるスケジュール変更が控えていることから、ここ数年で最も緊張感の高い採用シーズンを迎えているという声をしばしばうかがいます。

そこで今回は、先日発表した『就職白書2014』の調査結果をベースに2014年卒就職/採用をあらためて振り返ると共に、2015年卒採用戦線の行方を探ってまいります。




4割の企業が予定数を未充足の2014年卒採用

まず、2014年卒就職/採用は、一体どのような着地を迎えようとしているのでしょうか。

2014年卒予定者として民間企業に就職活動を行った大学生・大学院生の77.9%が、2013年12月時点で就職先を決めていました。これは前年の74.6%より3.3ポイント増です。

また、就職予定者の入社企業に対する満足度も、79.5%が「非常に満足」もしくは「どちらかというと満足」と回答しており、「非常に不満」「どちらかというと不満」を合わせた「不満・計」の5.6%よりも圧倒的に高い数字となりました。

これらから、学生の就職状況は前年より好転し、まずまずであったといってよいでしょう。


■民間企業を対象に就職活動を行った学生の進路の確定状況 [12月時点] (学生全体/単一回答)
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■学校種別および文理別に見た進路の確定状況 [12月時点]
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■就職先が確定している学生の入社予定企業への満足度 (就職先確定者/単一回答)
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■学校種別および文理別の入社予定企業への満足度
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一方の企業はどうでしょうか。

2013年12月時点で採用数を充足していた企業は、新卒採用を行った企業の58.9%と、昨年の62.3%を3.4ポイント下回りました。

また、入社予定者への満足度も「満足・計」が67.4%と、高水準ではあるものの前年マイナス1.8ポイントであり、企業にとっては前年よりもやや厳しい状況であったことがうかがえます。

特に従業員数5,000人以上の企業については、「充足・計」は67.8%と前年を3.0ポイント上回ったものの、「非常に満足」は前年マイナス12.0ポイントの19.4%に留まっており、「質に改善の余地がある」と評価している企業が少なくないことが分かります。


■2014年卒の採用数の計画に対する充足状況 [12月時点] (全体/単一回答)
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■従業員規模別 2014年卒の採用数の計画に対する充足状況 [12月時点]
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■2014年卒の入社予定者への満足度 (全体/単一回答)
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■従業員規模別 2014年卒の入社予定者への満足度
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次に活動スケジュールを見てみましょう。

新・スケジュール2年目となる2014年卒採用については、いわゆる「フライング」の増加が懸念されていましたが、学生・企業ともに前年との大きな変化はありませんでした。


■就職活動プロセスの開始時期の割合 <選考前> (各プロセスの実施者/それぞれ単一回答)
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■就職活動プロセスの開始時期の割合 <選考以降> (各プロセスの実施者/それぞれ単一回答)
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しかし詳細に目を凝らすと、主にふたつの変化が確認できます。

ひとつは企業の採用広報における「Webによる会社説明会」の開始時期について。

昨年は12月と2月の2つの山が見られていたのに、今年は2月の山が低くなりその分1月が高くなっています。昨年2月から開催を始めた企業のうちの一定数が、1月からに前倒ししたと読み取れます。

もうひとつは、採用選考における「書類選考」の開始時期。

昨年は3月だった書類選考開始時期のピークが今年は2月へと、やはり1カ月前倒しとなっています。

採用選考に関する指針に明示されている「広報開始時期」「面接選考開始時期」は昨年同時期としたものの、その間のプロセスについては若干前倒しして進める傾向があったことが分かります。


入社or内定辞退の決め手は「一緒に働きたい人」の存在

さらに、面接から内定の状況についても見てみましょう。

面接から内定までについて、『面接者数を100』とした場合、「内定出し者数」は12.7、「内定者数」は8.2となりました。

従業員規模別では、規模が大きくなるほど「面接者数」における「内定出し者数」「内定者数」が若干大きくなっています。

業種別では、建設業で「内定出し者数」が21.4、「内定者数」が13.8と、他の業種よりも高くなりました。

これは建設業の採用が、他に比べて学科などを特定して活動する傾向があるためと思われます。


■「面接者数を100」とした場合の内定出し者数および内定者数の割合


次に、『内定出し者数を100』とした場合で見ると、「内定辞退者数」は35.5、「内定者数」は64.5となりました。つまり、内定を出した人の概ね3人に1人に辞退されるのが平均的な相場ということです。

従業員規模別では、規模が大きい方が「内定辞退者数」も多くなっています。

一方の業種別では、流通業とサービス・情報業の内定辞退者数が、他に比べて若干高くなりました。

いずれもやはり採用数の多い傾向のある業種であり、採用数と歩留まりの両者を追いかけることがいかに難しいことかが、こうした統計結果からも読み取れます。


■「内定出し者数を100」とした場合の内定辞退者数および内定者数の割合


では、学生は何を基準に「内定辞退する企業」と「入社する企業」を決断しているのでしょうか。

学生に「入社予定企業と内定を辞退した企業を比較するときにもっとも重視した条件」を尋ねると、2014年卒生では「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が16.6%で第1位となりました。

この項目は前年の2013年卒では13.4%で第4位でしたから、大きく躍進したことになります。

そして2位以下は「勤務地」「業種」「安定性」「職種」と続きました。

昨年が1位から順に「業種」「職種」「勤務地」「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」「安定性」の順であったことと比較すると、より「職場環境」を重視する傾向が強まっているようにも見えます。

このあたりは2015年卒採用戦線に臨む上でも、重要なポイントになりそうです。


■入社予定企業と内定を辞退した企業を比較するときにもっとも重視した条件


従業員数5000人以上の企業の6割が既卒者採用を実施予定

それではいよいよ2015年卒の新卒採用活動の展望について見ていきましょう。

まず、2015年卒採用の2014年卒採用と比較した全体的な活動スケジュールの見通しは、「同じ」が66.8%と最も多いものの、「早くなる」が26.6%と前年よりも3.9ポイント増加しました。

「早くなる」と回答した企業にその背景を尋ねたところ、75.3%と多くの企業が「より自社に望ましい人材の確保」を挙げています。

 

■2015年卒の全体的な活動スケジュールの時期における2014年卒との比較

 

■2015年卒の採用スケジュールが変化する見通しの背景

 

採用基準の見通しについては、73.8%の企業が「2014年卒並み」としており、人材争奪戦が激化すると予測される中でも高止まりの傾向です。

また採用数に満たなかった場合の対応についても、51.9%と半数以上が「採用数に満たなくても求める人材レベルは下げない」と回答しており、依然高水準ではありますが、昨年と比べると「未定」と回答した企業の割合がいずれの従業員規模でも増加しており、「他社の出方や自社の状況を見て対応する」構えのある企業も少なくないようです。

 

■2015年卒の採用基準の見通し (前年採用実績企業/単一回答)

 

■従業員規模別に見た、2015年卒の採用基準の見通し

 

■2015年卒の採用数が満たなかった場合の対応予定 (前年採用実績企業/単一回答)

 

■従業員規模別に見た、2015年卒の採用数が満たなかった場合の対応予定

 

また2015年卒採用では、やや鎮静化していた外国人留学生等の採用が、再び活発になる兆しも見られています。

2015年卒採用における採用対象ごとの実施見通しについて、「日本の大学(院)卒の外国人留学生」「海外の大学(院)卒の外国人学生採用」「海外の大学(院)卒の日本人留学生採用」「既卒者の採用」について見ると、いずれも2015年卒採用の「実施予定」が、2014年卒採用の実施状況を上回っており、その傾向は従業員数5,000人以上の企業で顕著でした。

 

■2015年卒新卒採用における外国人留学生等の採用実施の見通し (それぞれ単一回答)

 

■2014年卒新卒採用における外国人留学生等の採用実施状況 (それぞれ単一回答)

 

■2014年卒の実施状況と2015年卒の実施見通しとの差

 

採用環境が「売り手化」する中、自社で活躍する人材を確実に確保するために採用レベルをどのあたりにピント合わせするかを睨みつつ、採用対象の多様化を図ることで量と質を両立させようという思惑が見え隠れしているように感じます。

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