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2014/01/28

売り手市場再来!? 2015年卒の求人動向は?―『ワークス採用見通し調査』を読み解く―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。リクナビ編集長・就職みらい研究所長の岡崎仁美です。

2015年卒生の採用広報活動が本格スタートして約2カ月。企業の採用担当の方々からは、予想以上の“熱戦”に対する驚きや戸惑いの声を数多くうかがっています。

この、「売り手市場再来」と報じられる状況をもたらすひとつの要因として、今回が「新スケジュール3年目」であることが挙げられます。

「採用広報は12月から、面接選考は4月から」という“圧縮スケジュール”での2度の経験を踏まえ、臨戦態勢をしっかり整えて、12月1日の解禁日を迎えた企業が多かったのではないでしょうか。

しかし最大の要因は、やはり経済情勢の変化でしょう。

一昨年末の政権交代後、景気は緩やかに回復し、物価も底堅く推移。雇用情勢も徐々に改善を見せ、有効求人倍率や完全失業率、雇用者数はいずれもリーマン・ショック前の水準までに回復しました。

新卒求人数は、数ある雇用系の指標の中でも、最も遅効性が高いと言われています。実際、各企業は2015年卒採用数をどのように計画しているのでしょうか。

今回のこのコラムでは、リクルートワークス研究所が12月に発表した『採用見通し調査』の結果から、2015年卒の求人動向について見ていきます。

リクルートワークス研究所では、毎年春に調査・発表している大卒求人倍率とは別に、秋にも民間企業における翌年度の採用(新卒・中途)の見通しに関する調査を行っています。




従業員数3000人以上の企業はここ数年で一番の臨戦態勢!

まずは、次年度の採用予定数の見通しを今年度と比較した場合の回答結果を見てみましょう。

これによると、2015年卒の新卒採用数が昨年よりも「増える」とした企業は全体の13.3%と、リーマン・ショック(2010年卒)以降で最も大きくなりました。

一方の「減る」は5.5%と、求人倍率がバブル期並みの2.14倍に上った2009年卒よりも、小さな値です。


■新卒採用増減見通し (2009年卒〜2015年卒)

■「増える」と「減る」の差の推移 (2009年卒〜2015年卒)


次に2015年卒採用の見通しを、従業員規模別に見てみましょう。

最も採用意欲の高さが見られる結果となったのは5,000人以上の超大手企業で、2割近くが「増える」と回答しています。


■2015年卒採用の見通し_従業員規模別


またこの超大手企業の3分の1もが「わからない」と回答していることも、着目すべきポイントでしょう。

この12月〜1月は特に、超大手企業の学生との接点づくりの活動が非常に盛んであった印象です。

ある企業は、大会場で多くの学生に多様な切り口で企業や仕事の魅力を訴えるセミナーを実施し、また別の企業は、こまめに多くの学内説明会に足を運んでいたようでした。

その姿を見る限りでは、この「わからない」のうちの少なくない企業が、年度末業績などを見て「増える」に転じると見てよいでしょう。

いうまでもなく、この新卒採用市場においては超大手企業の動きがカギを握ります。

リーマン・ショック後は、当初から中堅中小企業を視野に入れて就職活動する学生が徐々に増える傾向にありましたが、2015年卒学生については、その揺り戻し感は否めません。

しかし、学生の話を聞いていると、いざ就職活動が解禁になったら、超大手企業のプロモーションが盛んで、幅広く接点を持つ傾向もあるので、「なんとなくまずは大手から」といった“受け身の大手志望者”が増えているのが実態のようです。

いずれにせよ、超大手企業が採用意欲を高め、この数年で最も力を入れた態勢で2015年卒採用に臨んでいることは間違いないでしょう。


注目の建設・製造・金融。そのポイントは?

次に、業種別の動向を見てみましょう。

最も力強いのは建設業で、実に2割強が「増える」と回答しており、「増える」と「減る」の差も17.7%ポイントと、唯一2ケタに上っています。


■2015年卒採用の見通し_業種別


建設業は、2014年度の中途採用見通しでも、「増える」が20.3%、「増える」と「減る」の差が17.4%ポイントと、新卒とほぼ同様の傾向を見せており、2015年卒の高校生採用においても、「増える」が「減る」を9.4%ポイントも上回るなど、幅広く人材募集を行う意向がうかがえます。

もうひとつ注目したいのは製造業です。

製造業は2014年卒の採用見通しで、唯一「増える」が「減る」を下回るなど、他業種に比べて回復の遅れが見られていました。


■2014年卒採用の見通し_業種別


しかし2015年卒では「増える」が10.6%に対し「減る」は6.3%と、「増える」が「減る」を上回る結果となっています。

業種別を詳細に見ると、証券(「増える」—「減る」が16.6%ポイント)、情報通信業、飲食サービス業(いずれも同15.8%ポイント)、銀行(同11.3%ポイント)、半導体・電子・電気部品(同11.2%ポイント)、小売業(同10.6%ポイント)などで、特に採用意欲の高さがうかがえます。


■2015年卒採用の見通し_業種別詳細
※クリックすると拡大します


これらの“高採用意欲業種”は、大きくふたつに分けられます。

ひとつは建設業のように、中途採用も同じく「増える」が「減る」を大幅に上回っているもの、もうひとつは中途採用では「増える」と「減る」に大きな差が見られないものです。

具体的には、銀行と半導体・電子・電気部品が後者に当てはまります。

それだけ“新卒に賭ける”傾向があるともいえ、2015年卒採用への危機感もとりわけ強いことが想像されます。

この業種内あるいはこの業種とバッティングしがちな企業は、一層意識を高めて臨む必要があるかもしれません。

変わる2016年卒はさらに激戦!?

最後に、地域別の動向もおさえておきましょう。


■2015年卒採用の見通し_地域別


すべての地域で「減る」が「増える」を上回った“ドン底”の2011年卒以降、この3年間は「関東」を中心とした同心円状に「増える」が「減る」を上回る地域がひろがってきていました。

それが、2015年卒ではすべての地域で「増える」が「減る」を上回り、景気回復の効果がすみずみまで行き渡りつつあることがうかがえます。

■2015年卒採用の見通し_地域別


このように、企業の採用意欲は全般的な高まりを見せており、新卒採用マーケットのトレンドが新たなフェーズに入ってきたことが確認できます。

では、今後はどのように推移していくと見るべきでしょうか。

内閣府が毎月発表している『景気動向指数』と、『大卒求人倍率』とを重ね合わせてみると、あることが浮かび上がってきます。


■景気動向指数と大卒求人倍率の推移
※クリックすると拡大します


それは、大卒求人倍率の景気変動に対する反応が、年を追うごとに鈍化しているということです。

大卒求人倍率の調査発表が始まった1987年以降、日本経済には4回の“景気の山”がありました。その山に遅れて、大卒求人倍率も必ず山を描いてはいます。

が、その高さは徐々に低くなり、またそのピークは景気動向指数(CI:コンポジット・インデックス)のピークからの遅れが少しずつ拡大しているように見えます。

これは、特に2000年代に入ってから新卒採用の厳選傾向が一層強まり、また採用活動期間の長期化が見られていることの影響ではないかと推測します。

いずれにせよ、しばらく景気動向指数は強含みで推移すると予測されており、再び活動スケジュールが刷新される2016年卒の採用戦線は、さらに激化する可能性が高いとみるのが適切でしょう。


“大きく変わる”2016年卒も見据えて、2015年卒採用戦線をいかに乗り越えるか。人事採用の皆さんにとっては、気の抜けない日々が続くことと思います。



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