2013/07/09

2014年卒業予定者の“就職内定状況”はいかに―6月1日時点での就職活動および内定状況と今後の活動見通しについて―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。リクナビ編集長の岡崎仁美です。

7月に入り、2014年卒の採用戦線を終え、次年度に備えた振り返りを本格化する企業が目立つようになってきました。

一方で、現時点での内定承諾数と採用予定数にはまだまだ乖離があり、なんとか秋までにメドをつけるべく、新たな一手を打ちたい、といった声も多く聞かれます。

現に『リクナビ2014』で今週(※1)エントリーを受け付けている企業は、8,036社(うち新たな受付開始は287社)、説明会予約を受け付けている企業は3,093社(同1,555社)にも上っています。
※1:6月27日〜7月3日

さらに、派遣・アルバイトを含めた求人市場が、活況を呈し始めた影響も顕著です。人員確保の手段を間接雇用から直雇用へ、非正規のみから正規雇用との併用へ、中途採用から新卒採用へ……と路線変更する企業も見られます。

ここへきて「初めての新卒採用に挑戦したい」「数年ぶりに新卒採用を再開したい」といったご相談がまた増えている状況です。

では、一方の学生サイドはどうでしょうか? この時期からの勝負の公算をどう見立てるべきなのでしょう?

そこで今回は、『就職みらい研究所』の徳永英子研究員が、去る6月27日にプレスリリースした「就職内定状況調査(6月1日時点)」をもとに、現在の実態と今後の活動ポイントについて述べてまいります。

徳永英子プロフィール
人材サービス関連事業にて、中途採用についてのマーケティングを担当。その後、新卒採用における、企業・学生の採用・就職活動動向に関する調査・マーケティングを担当。2001年4月よりリクルートワークス研究所にて、「大卒求人倍率調査」「採用見通し調査」など労働市場関連の調査を担当。主な研究内容は、「新卒採用」関連や、「女性のキャリア」など。2013年4月より、現職と兼務。

2014年卒者の“内定出し”は「超高速」?!

当研究所の「就職内定状況調査」は、3月1日時点より調査しております。

3月1日時点から6月1日時点の就職内定率(※2)を見ると(図表1)、4月1日時点までは、前年同月とほぼ同水準で推移しておりました。
※2:「就職内定率」は、当該月1日時点での就職志望者のうち、当該月1日時点までに内定取得経験のある者の割合

ところが5月1日時点では39.3%と、前年同月の30.7%よりも8.6ポイント高く、6月1日時点では53.4%と、前年同月の48.0%よりも5.4ポイント高くなりました。


■図表1: 就職内定率

就職内定率が前年よりも高くなった理由は、企業の採用予定数が増え、採用ニーズが高まっているからでしょうか。

リクルートワークス研究所が発表した2014年卒業予定者の「大卒求人倍率調査」(図表2)を見ると、求人倍率は1.28倍と、前年の1.27倍と比較し、ほぼ横ばいとなっております。

企業の求人総数(採用予定数)は、個社によって異なりますが、比較的早くから採用活動を開始する大手企業の求人総数は、どうなっているのでしょうか?(図表3)。


■図表2: 求人総数および民間企業就職希望者数・大卒求人倍率の推移
※クリックすると拡大します

■図表3: 従業員規模詳細別の求人数・民間就職希望者数・求人倍率


5月1日時点、6月1日時点の就職内定率が前年よりも高くなっているのは、大手企業が採用予定数を増やしたということではなく、採用活動スケジュールを変更させたことにあると思われます。

前年の2013年卒業予定者より、広報活動開始時期が、それまでより2カ月後ろ倒しの12月1日以降となりました。しかし、圧縮スケジュールへの対応が不十分で、予定通り採用できなかった企業が少なからずあったことはご存知のことと思います。

そうした企業を中心に、今年度は“スピード勝負”と入念な準備を経て、4月1日以降に自社にとってよい学生に出会えた場合、スピーディーに内定出しをしている様子が窺えました。

このことにより、前年よりも就職内定率が高くなっていると推察されます。


2014年卒者の就職活動はまだまだ継続中! 新たなエントリーも活発なもよう

就職内定率が前年よりも高いということは、就職活動を実施している学生が少なくなったのか、と思われるかもしれません。統計ではどうでしょうか。

6月1日時点の就職活動実施率は60.9%。前年同月時点の66.6%を下回ってはいますが、まだまだ活動を行っている学生は多くいます。

学生に話を聞くと、

「就職活動を続けてきて、自分が将来やりたいことに、変化がでてきた。そのため持っていた内定をすべて辞退して、6月に入ってまたイチから就活を始めている」
「初めは志望していなかった業界でも、業界研究を重ねるうちに働きたいと思えるようになったので、あらゆる業界について調べることで、自分の将来の可能性を広げていくことができると思った」

など、これからも積極的に就職活動を行っていこうという声も多くあります。就職活動を通して成長を実感する学生も多いものです。

就職活動を続けている学生は、具体的にはどのような活動を行っているのでしょう。

図表4にある通り、7割近くの学生が面接などを受けています。また、半数の学生が、新たな企業にエントリーし、適性検査や筆記試験を受けたり、個別企業の説明会・セミナーに参加したり、またエントリーシートなどの書類を提出したりしているのです。


■図表4: 5月中の1カ月に実施した就職活動

学生も「選ぶ側」に!学生の心を動かすポイントは?

ここまで、2014年卒の内定率は高水準で推移しているが、今後も就職活動を継続する学生は多く、また学生は就職活動を通して成長しているということを述べてまいりました。

では最後に、その成長途上の学生は、具体的にどのような変化を遂げるのか、お伝えしたいと思います。

就職活動当初は、選考される側として見られることを意識し、極度に緊張している様子も窺えます。そのような状況では当然ながら余裕もないため、人事担当者のことをあまり見ることはなく、またできなかったともいえるでしょう。

しかし、就職活動を行っている中で状況を理解し、また、経験していく中で余裕を持つことができるようになってくると、“選ばれる側”から“選ぶ側”としての視点も持てるようになってきます。

例えば

「説明会での人事担当者の対応が悪いと、働いている人もそういう人が多いのかなと感じてしまうことがある」 「結局、何で判断されているのか分からない採用活動が多い。」

などといった冷静なコメントも増えてくるのです。


一方で、OB・OG訪問をした際に、親身に相談に乗ってくれたり、アドバイスをしてくれたり、学生である自分たちにも対等に接してくれたときなど、その会社で働きたいと思うようになった、との声も聞かれます。

就職先を選ぶときに重視した条件(図表5)を見てまいりましょう。

就職活動の当初時期である11月時点では、「業種」を重視していますが、就職活動が進んできた6月時点では、「業種」「職種」を重視する学生は依然と多いものの、「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」について、11月時点では24.8%であったものが、6月時点では40.1%にまで増えています。

「自分が働くかもしれない職場」、つまり、組織風土や社風、実際に働く仲間などの人に対して、関心が高まっていることの表れでしょう。


■図表5: 就職活動中の大学生が就職先選択時に重視した条件(複数回答)


「就職活動前は規模や知名度を重要視していたが、最近ではそれらより一生続けられるかを見るようになりました」というように、軸を変えて視野を広げた学生たちは、“選ぶ側”の視点も持ち合わせながら今後も就職活動に臨みます。

そうした学生の心を動かすためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは3点挙げたいと思います。

1)オーディションではなくコミュニケーションを

面接も長引いてくると、以前聞いたようなエピソードに遭遇することは多々あるでしょう。しかし、当然ながら「十人十色」、一人ひとりの学生には個性があり、同じような経験でも違った学びを得ているはずです。

面接で、学生のトークを「浴びる」のではなく、しっかりと耳を傾け、その発言の背景を探るような「なぜ」の質問を投げかけましょう。

学生は「自分に興味を持ってくれている」と思えば心を開き、ますますその人の個性が見えるようになっていきます。

2)上から目線ではなく、対等かつ真摯に

この時期、学生からよく聞かれる人事に対する嘆きが、この「上から目線」です。「○○社の人事は、学生をバカにしたような態度をとる」といった情報は、今の時代、すぐに広く伝搬してしまいます。

そんなつもりはなくても、そのように映ってしまう、ということはあります。採用だけでなく、事業活動全般の評判にも影響を及ぼすリスクがあるので、注意したいところです。

3)面接の時間はそれに集中を

「○○社の人事は、面接の間中、ずっと携帯を見ていた」などといった話も、この時期は頻繁に聞きます。
他にも

「途中で電話に出られてしまった」
「ずっと扇子で顔を仰いでいて明らかに集中力に欠ける感じだった」
「書類ばかり見て、一度も顔を見てくれなかった。今思えば見ていた書類も面接とは関係ない、別の仕事のモノだったかも……」

といったようなものもよく目にします。

「顧客満足を掲げているのに、学生に対する態度は真逆。会社自体を疑ってしまう」

といった辛辣なものもあります。


採用活動は、決して学生にウケをとるためのものではありませんが、こうした印象の積み重ねが、個々の企業の採用力に大きく影響してくることも事実ですので、注意が必要ではないでしょうか。

企業と学生がそれぞれ心を開き、相互理解を深めた上で、選び選ばれる関係をつくることが、採用成功にも、その後の活躍にもつながるものと思われます。そうしたコミュニケーションを支援するべく、今後も調査などを通じた情報発信に努めてまいります。


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