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2013/05/28

2014年卒採用の実態―最新『ワークス大卒求人倍率調査』を読み解く―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。リクナビ編集長の岡崎仁美です。

去る3月8日、株式会社リクルートキャリアの新卒事業本部内に、『就職みらい研究所』を立ち上げました。

リクルートキャリアは

             ひとりでも多くの人たちが「働く喜び」を膨らませ、
             「働く喜び」の輪が、新たな活力を生み出している社会を創りたい

という企業ビジョンを掲げています。

そしてその「働く」の第一歩といえる就職の“今”と“未来”をつかんで広く発信し、よりよい就職・採用の在り方を模索する活動を推進するために、この『就職みらい研究所』を設立しました。

今後はこのコラムも、『就職みらい研究所』の総力を結集し、さらなる充実を図ってまいります。

今回は所長を務める岡崎と、研究員・間下充顕との共同執筆にてお届けいたします。



もうすぐ6月。2014年卒採用の実務に携わる皆さんは、ここまでの戦績を踏まえて今後の対応などを検討しているタイミングではないかと思います。

2014年卒採用は、いわゆる“圧縮スケジュール”の2年目であり、企業の皆さんは、前年のさまざまな反省を踏まえて臨んだことでしょう。

しかしながら、やはり、なかなか思うようにはいかないという声も多く聞かれます。

今年は、特に一部企業の内々定出しが早く、それによる学生の動きへの影響が読み切れなかったようです。

一方、「アベノミクス」の効果は、採用市場にはどう表れているのか、需給バランスにどれくらい影響を及ぼしているのかを把握した上で、今後の採用活動をプランニングしたい、といったご要望も寄せられています。

そこで今回は、2014年卒の採用市場について、そのマクロ環境や新たな兆候を、リクルートワークス研究所の『第30回 ワークス大卒求人倍率調査(2014年卒)』を読み解きながらお伝えいたします。



求人総数は前年より減少、製造業の落ち込みが大

まず、大卒採用の需給バランスを示す「求人倍率」を見てみましょう。

この大卒求人倍率は、民間企業の採用予定数(大卒)を、民間企業就職希望の大卒予定者数で割って算出しています。ここでいう「大卒」には、大学院卒も含んでいます。

リーマン・ショック以降、下降の一途を辿っていたこの大卒求人倍率は、昨年5年ぶりに上昇に転じました。

そして今回、2014年3月卒業予定の大学生・大学院生の値は1.28倍で、前年の1.27倍のほぼ横ばいとなりました。


■求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移
※クリックすると拡大します


もう少し詳細に、まず求人倍率の分子である「求人総数」を見てみましょう。

実は求人総数は、リーマン・ショック以降、ずっと前年マイナスが続いています。増減率は、昨年かなり小さくなり下げ止まったように見えましたが、今年は僅かながらマイナス幅が再び拡大しています。





一体どういうことなのでしょうか。

確かに「アベノミクス」の効果は、まだまだこれからかもしれませんが、「求人数が減少」とは少し意外に感じる方もおられるのではないでしょうか。

実は、リーマン・ショックの影響が反映された2010年卒以降、求人数を増やしていたのは、比較的規模の大きな企業群であり、中堅中小企業の採用予定数はずっとマイナスです。

一方の従業員数1000人以上の企業は、2012年卒に対前年プラスに転じ、それに続いて2013年卒もプラスでした。ところが、今回2014年卒で、僅かに減少に転じてしまったのです。


■従業員規模別 求人総数の推移(対前年増減比)



つまり、リーマン・ショックから5年近くが経つ今も、中小企業の新卒採用意欲は回復しておらず、ここへきて従業員数1000人以上の企業も、慎重な姿勢を見せ始めているのです。

しかし、これは業種別にみると、また別の様相が見えてきます。

金融業や建設業においては、2013年卒までは求人数の減少傾向が続いていましたが、2014年卒では対前年プラスに転じ、下げ止まっています。


■業種別 求人総数の推移(対前年増減率)

 ■業種別 求人総数の推移(対前年増減率)

ところが製造業は、対前年マイナス幅を昨年以上に大きくしています。

さらにその製造業を分けてみますと、自動車・鉄道では対前年プラスである一方、電気・電子・半導体・機械は対前年マイナス8.5%、化学・鉄鋼・素材においては同マイナス13.8%と大きく前年より減じています。






学生は流通業離れ、「職場の衛生要因」への関心も急速に拡大

次に、学生の動向=民間就職希望者について見てみましょう。

昨年は、14年ぶりに中堅中小希望の学生数が、従業員数1000人以上の企業のそれを上回るという現象が見られました。

しかし今年は再び、従業員数1000人以上の企業の希望者数が中堅中小希望者数よりも多いという結果になりました。


■従業員規模別 民間企業就職希望者数


こちらの業種別はどうでしょうか。

今回、就職希望者数が前年プラスになったのは、建設業と金融業です。

これはいずれも求人総数が下げ止まった業種であり、企業の採用意欲の高まりを学生がビビッドに感じた影響も少なからずあると考察されます。

実際、就職希望者数が減少している製造業とサービス・情報業は、求人総数も前年より減じています。

求人総数と就職希望者数の動きが逆になったのは流通業です。

流通業は、求人総数は2年連続のプラスでしたが、一方の就職希望者数は2014年卒で対前年マイナス20.7%と大きく落ち込む結果となりました。

その結果、業種間の求人倍率格差は、さらに広がりました。


■業種別 求人倍率の推移



こうした学生の「流通離れ」の背景には、労働環境や定着率(もしくは離職率)に関する、世間的な関心が高まったことも影響しているように感じます。

昨年秋、厚生労働省が若年者の離職率を公表し、その業種別・規模別の大きな開きが大変注目されました。

離職率の高低が、単純に企業の良し悪しを示さないことは、社会人の皆さんならば実感するところでしょうが、社会経験の浅い学生たちや彼らを見守る親たちには、この情報はかなりの衝撃を与えたようです。

また折からの社会不安の下、これまで以上に若者たちは「職場の衛生状態」に関心を高めています。

心身ともに健康的に働ける職場か否かといった観点での情報を欲し、またSNSなどのツールの拡大により、職場内外からのそうした情報発信も桁違いに増えています。

企業人事においては、学生への発信にとどまらず、企業の内部統制やコミュニケーション改革にも心を配る必要が、いっそう増しているのではないでしょうか。

さらに進む産業シフト、ミスマッチの解消が必須

こうした業種間のミスマッチ(釣り合わない状態)は、今に始まったことではありません。

大卒の求人総数と、民間企業就職希望者数の業種別のシェア推移を比較すると、一目瞭然です。

 

■業種別 求人総数(シェア)の推移

 

■業種別 民間企業就職希望者数(シェア)の推移

 

さらにこの求人数は、今後も加速度的に業種間格差が拡大することが予測されています。

本調査を実施しているリクルートワークス研究所が、2011年に発表した『成熟期のパラダイムシフト -2020年の「働く」を展望する』では、2010年から2020年の10年間で、製造業・建設業に従事する人の人数は、1,550万人から1,149万人に、約25%減少すると試算しています。

 

■産業別就職希望者数の推移

 

一方、情報・サービス業のうち、「運輸業・情報通信業」は+15.4%、「医療・福祉」は+32.2%と大幅増が見込まれており、特に「医療・福祉」は人数規模でも863万人と、製造業に匹敵する産業へと成長するとされているのです。

 

■情報・サービス業の内訳と10年間の比較

 

ところが個人の価値観はそう簡単に変化するものではありません。

かたや担い手さえいれば成長が見込める産業・企業があり、かたや衰退あるいは人的パワーによらない経営を模索する産業・企業があります。

若者たちがその持てる才能や可能性を充分に発揮し、自らの力を伸ばすと同時に、産業発展にも大きく貢献していくためには、こうしたミスマッチの解消が不可欠です。

全く知らないことをやりたいと思うことは不可能です。

私たちは、まずは「知る」ことから、一人でも多くの学生が、自分の社会人としてのフィールドを発見できるよう、促していきたいと考えます。

今回は、大卒採用のマクロ環境を把握する目的で、リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率」を見てまいりましたが、私たち『就職みらい研究所』でも独自の調査・研究を行っております。

このような情報も積極的に提供し、皆さんの採用成功の一助になるべく活動していきます。


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