2012/06/12

2013年卒採用戦線・早分かり Vol.2―『大学生の就職内定状況調査(2013年卒)』を読み解く―

岡崎 仁美(おかざき・ひとみ)
1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に携わる。
当初7年間は大阪にて人材採用・育成の営業に従事、中堅・中小企業を中心に延べ約2000社を担当。2000年に首都圏に異動し、転職情報誌『B-ing関東版』の編集企画マネージャー、同誌副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』の編集長を経て、2007年4月に、『リクナビ』編集長に就任。以後、大学などでの講演も数多く行う。プライベートでは3児の母でもある。

イントロダクション


こんにちは。リクナビ編集長の岡崎仁美です。

先月から3回にわたって、2013年卒採用戦線の概観を、調査やインタビューなどの結果を用いながらお伝えする「2013年卒採用戦線・早分かり」。第2回目の今回は、リクルート『大学生の就職内定状況調査(2013年卒)』を読み解きます。



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2013年卒学生の就職内定状況は“快調な滑り出し”

まず、5月1日時点での、就職志望の大学生における就職内定率を見てみましょう。


■「就職内定率(※2)」(就職希望者/単一回答)


大学生全体は30.9%、文理別では文系:28.0%に対し理系:37.1%と理系が9.1ポイント高く、男女別では男性:34.1%に対し女性:27.0%と男性が7.1ポイント高いという結果になりました。

地域別では、関東:34.2%、中部:32.1%、近畿:29.7%、その他地域:25.0%と関東が最も高く、「関東」と「その他地域」との差は9.2ポイントでした。

また、理系大学院生の就職内定率は55.8%で、大学生全体の30.9%より24.9ポイントも高くなっています。

この結果は、どう評価するべきなのでしょうか。企業人事や学生、大学で就職支援をされている皆さんへのヒアリングや、過去の調査結果なども鑑みますと、2013年卒学生の就職内定状況は“順調な滑り出し”であるといってよいようです。

昨年(2012年卒)は震災の影響で採用選考開始時期が分散し、5月1日時点で選考を開始していない企業が大手も含めて少なくありませんでした。その影響で、この時期の学生の内定獲得状況が芳しくなかったことは、皆さんもご記憶に新しいことでしょう。

それと比較すると、中堅以上企業の選考開始が再び4月に集中した今年の内定率が上昇しているのは、ある意味必然といえましょう。

しかしそれのみならず、2010年卒・2011年卒と比較しても、2013年卒の内定状況の滑り出しは良いと実感しています。その大きな要因のひとつが、大手企業の採用予定数増という事実です。

従業員数1,000人以上の大手企業は2年連続で採用予定数を増加させています。 その規模も、2013年卒の採用予定数を2011年卒のそれと比較すると、従業員数1,000〜4,999人企業が6.4%増、5,000人以上企業が10.8%増と、小幅とはいえない伸びとなっています。

まこの規模の企業は、採用予定数の約2割増しの内定を出す、また8割の企業が5月までに内定出しを開始するという傾向があります。

つまり、
  • ●採用予定数は増加
  • ●内定付与は採用予定数の2割増し
  • ●8割が5月までに内定出しを開始
といった大手企業の傾向により、2013年卒学生の就職内定状況が“快調に”滑り出しているのです。


7割が4月決戦の理系院生、半数が5月に持ち越す大学生

次に、内定後の就職活動実施状況を見てみましょう。

リクルート『大学生の就職内定状況調査』では、この「内定後就職活動実施率」を重要指標6つのうちの1つとしてウォッチしています。企業の厳選採用や学生の多様化が進む中で、内定の重複傾向の進行状況はいかなるものかを把握するためです。

その「内定後就職活動実施率」は、4月から5月にかけて大きく変化しています。


■「内定後就職活動実施率(※4)」(就職志望者/単一回答)


4月1日時点では、既に内定を取得した大学生の80.6%、理系院生の81.3%が就職活動を実施していました。ところが5月1日時点になると、内定取得済みの大学生のうち、就職活動を実施しているのは53.8%と、前月から26.8ポイントも減少しました。理系院生に至っては、81.3%→27.6%と、53.7ポイントも減少しています。

つまり内定取得済みの大学生の半数弱、理系院生の7割強が、5月1日時点で就職活動を終了しているのです。4月1日時点では大学生・理系院生いずれも内定後就職活動実施率が8割を超えていたことを鑑みると、やはり学生サイドの多くも、4月をクライマックスと見て行動していたといえましょう。

しかし大学生と理系院生の間には大きなギャップがあるのも事実です。内定取得済みの理系院生の7割強が既に5月1日時点で就職活動を終了しているのに対し、大学生はまだ53.8%と過半数が就職活動を実施しています。

実際、本調査の別の重要指標である「進路確定率」を見ても、5月1日時点で進路を確定している大学院生は全体の40.4%に上るのに対し、大学生全体では13.9%と、理系院生より26.5ポイントも低くなっています。


■「卒業後の進路確定率(※5)の推移」(全体/単一回答)


内定取得済みの学生が就職活動を続ける理由として多く挙げられるものは、「より志望度の高い就職先の選考が終わっていなかったから」「内定を取得した企業に入社するべきか、自分自身が決断できなかったから」であることが分かっています(『就職白書2012』より)。

実際の就職市場においては、6月以降に内定出しを開始するところも多く、従業員数5〜49人企業の9割弱、50〜299人企業の約4割、300〜999人企業の2割強、1,000人以上企業でも約1割に上っています。つまり、全体で見ればまだまだこれからが“本番”とも言え、よりよい会社・仕事がないかと模索する学生の活動はもうしばらく続くことでしょう。

また、内定取得者が就職活動を継続する背景には、昨今の海外大生採用の拡大、それに伴う「夏採用」実施の進展による影響もありそうです。

商社、金融、マスコミなどの人気大手企業の複数社が、外国の大学で学ぶ学生の採用を強化する中で「夏採用」を積極的にアピールする傾向が見られます。この「夏採用」は公務員や進学からの進路変更組の受け皿ともなり得ることから、国内の学生に対しても広報されており、多くの学生に認知されるに至っているようです。

内定者の4割強が「重複内定」!

もう少し、内定取得済み学生について詳しく見てみましょう。

内定取得者のうち、5月1日時点までの内定(内々定)取得社数の平均は、大学生全体では1.67社、理系大学院生は1.98社でした。また内定(内々定)取得社数の内訳を見ると、5月1日時点では1社が58.9%、2社が24.3%、3社以上が16.8%となっており、いわゆる「重複内定」の学生が約4割を占めていました。


■「月別の内定(内々定)を取得した社数の推移」(各時点での内定取得の大学生/実数回答)


この「内定社数複数者」の割合は、3月1日時点で12.9%、4月1日時点で34.8%、5月1日時点で41.1%と、月を追うごとに増加しています。

この現象は理系院生でも同様に見られており、4月1日時点で26.6%だった値が5月1日時点では45.4%と18.8ポイントも上昇しています(注:理系院生はサンプル数の問題で3月1日時点データなし)。

こうした学生の「重複内定」の背景には、企業における「量より質」の採用スタンスがあります。約6割の企業が「採用数に満たなくても求める人材レベルは下げない」としています※。あくまで“自社に望ましい人”にこだわって内定(内々定)出しをする中で、どうしても他社との重複が起きてしまうというジレンマが、多くの採用現場で見られているのです。
※就職白書2012(リクルートキャリア)

ではこの「就職内定率」などの数字は、今後どのように推移していくのでしょうか。

企業の皆さんや学生・大学の方々のお話を鑑みると、5月1カ月間の活動を反映する6月1日時点のデータは、おそらく5月までの動きを踏襲して推移することと思われます。

しかし、多くの大手が一段落する6月以降は、採用広報活動の開始時期が2カ月後ろ倒しになった影響が具体的な数字にも表れ始める可能性があります。加えて2013年卒採用においては、中堅・中小企業の採用予定数は前年減の計画であり、夏以降の就職内定率などの伸びに少なからぬマイナスの影響を及ぼしそうです。

2013年卒は、広報開始から選考開始までの期間が2カ月短縮となったために、十分に視野が広がりきらぬまま選考に突入し、現時点でまた一から応募企業のリストアップを始める学生も少なくありません。
また、大手は採用増ではあるものの、全体の求人倍率は1.27と決して高くなく、採用意欲が旺盛な企業にとっては好機が続いているともいえます。

まだまだ多くの学生が動いている2013年卒採用。これからひと頑張りされる企業の皆さん、我々も全力でバックアップいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。


以上今回は、就職/採用の進捗状況を表す「就職内定状況」を見てまいりました。
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