お電話でのお問い合わせは

0120-98-3454 受付時間 9:00〜18:00(土日祝祭日を除く)

※電話内容については、正確を期すため録音しております。

新卒採用の相談窓口はこちら

2011/08/09

今の内定は確かですか?―学生との関係性を深め本心を知る―

辻 太一朗(つじ・たいちろう)
(株)リクルート人事部を経て、1999年(株)アイジャストを設立。
2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
2010年(株)グロウス アイ設立、大学教育と企業の人材採用の連携支援を手掛ける。
また同年に(株)大学成績センター、翌11年にはNPO法人DSS (大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会) を設立。
採用に関わる多くのステークホルダーを理解しつつ、採用・就職の"次の一手"を具体的に示すことに強みを持つ。

イントロダクション


こんにちは、採用ナビゲーター・辻太一朗です。

夏本番の暑さ厳しい中、採用活動を続けていらっしゃる皆さま、本当にご苦労が多いかと思います。

まだまだこれからの方々がいらっしゃる一方で、2012年卒採用の全体的な流れとしては、そろそろ内定出しのピークが過ぎてきました。

そんな中、「内定出しはしたものの、今年は辞退者がどのくらい出るか読めない……」という声も聞かれます。

そこで今回は、学生の気持ちが「本当のところはどうなのか?」についてお伝えしたいと思います。

学生たちは就職活動中に、他社での選考状況や自社に対する志望度を、どれくらい正直に答えていたのでしょうか? そして「内定承諾」の返答は……?

その時々では正直に答えていたとしても、さまざまな企業から得た情報や接した社員の印象などから、答えは変化するものです。

そこで、就職活動中の学生の変化を探り、最終的な「内定承諾」の返答が信じられるものかを明らかにしていきたいと思います。

今回、就職活動を終了させた4年生との座談会を実施しました。いつもとは少々構成を変えて、学生と私とのやりとりを対話形式で採録しています。

「内定者たちは正直に答えているのか?」皆さんが自社の内定者の返答を確認される際の参考にしてください。また、学生の気持ちを探るヒアリングの進め方にも注目していただければと思います。

本心を探る聞き方とは?

今回、都内の中堅大学の学生3人に集まってもらい、座談会形式で話を聞きました。3人とも既に内定を受け、5月下旬〜6月初旬で就職活動を終了しています。

今回は、どの層の学生がどう動くかという話ではなく、どんな関係性の企業との間で、どんな判断をして、どのような意思表示をしてきたかを探ることを目的としているため、大学名や名前などはあえて伏せて、学生A、B、Cとしています。

学生との対話の中で、私は以下のようなステップで話を進め、私自身が納得できる情報を引き出すまで、掘り下げていきました。


[1] 内定した企業だけでなく、あえて「途中で辞退した企業」や「一定条件で仮定した企業
     (例えば●●な企業だったら)」の話も聞き、比較する
 ⇒ 本人の志望度、時期、社員との関係性の違いなどに、判断や言動はどのように変化するかを明確にし、自社がどのように認知されていたかを、客観的に捉えるための材料を集める

[2] 他の学生はどうしているかなど、他者の例も聞きながら比較する
 ⇒ 友人や周囲の学生との比較により、その学生「個人」を客観的に捉えるための材料を集める

そして、最後には「これって●●ということかな」と必ず学生との理解の確認を行いました。

これらの聞き出した内容をもとに、最終的に学生が何を基準に、どういう行動をとったかを分類、整理していきました。

以下、座談会で学生から聞いた内容(一部抜粋)を掲載します。途中、【 】をつけて記述している箇所がありますが、これは私がその質問で何を聞こうとしていたかを加筆したものです。実際に学生にヒアリングを行う際の参考にしてください。


本当のところ、正直に答えていた?−座談会より−

●内定承諾は、正直に答えたか?

  <学生Aの場合>
内定承諾をどのタイミングで聞かれましたか?

学生A最終面接を受ける前に、電話で「弊社への志望度はどのくらいですか?」と聞かれて、その時点で第1志望だったので、「御社に内定したら他の活動をやめようと思っています」と答えました。実際、それで活動を終了しました。

それは第1志望だったからですね。では、もし他の企業だったらどうしたかな?第1志望じゃない会社から先に内定が出て、「他の活動をやめてもらえるかな」といわれたとしたら。

学生Aそのときは、人生がかかっているので「少し待ってください」と正直に答えたと思います。

それでも、2週間しか待てないといわれたとしたら?
【回答期限がついた場合、どう返答するのか?】

学生Aその間に一生懸命情報収集して、その会社のことをさらによく調べて悩むと思います。その結果、そこでもいいかなと思ったら、内定を受諾して第1志望をやめたかも……。

友達はどう? 同じようにしていた? 内定を持ちながら就職活動を続けていた人もいると思うけど。
【「正直に答える」が学生の中では一般的?「ウソをつく」ことへの嫌悪感の有無は?】

学生Aそうですね。友達は内定がありながら活動する人が多かったかも。でも私は、基本的にウソをつかないようにしていました。

それはなぜ? 損得で考えたら、損だよね。
【嫌悪感はないのに、なぜこの学生はウソつくことを避けるのか?】

学生A実際、活動の途中で「御社は第1志望じゃありません」とはっきりいってしまって駄目になったことがあります。
でも、後悔はしていません。就活の中盤ごろ、私はもう正直なスタンスでいこうと決めたんです。

でも、正直にいうと駄目だったことがあるんですよね。不安はなかった?

学生A実は私は最終的にかなり業界を絞っていて、そこの中では面接で落ちたことがなかったんです。
だから、「私は大丈夫」っていう根拠のない自信がありました(笑)。


  <学生Bの場合>
学生B私も、最終的に内定した会社は第1志望だったので、内定の連絡をいただいたときに、他の活動は終了しました。

1週間後に内定者懇親会があったのですが、その場で人事の方が「まだ活動を続けている人もいると思いますが、この場をきっかけに当社を真剣に考えていただけるとうれしい」とおっしゃっていて、逆に他の人はまだやっているんだって驚きました。

それ以前に他の企業から内定はもらっていたの?

学生Bはい。最初1社は内定承諾書を出すよういわれたのですが、「出せないなら正直にいってください」といわれたので、はっきり「まだ書けない」と伝えました。でもその企業は、それほど志望度が高くなかったのと、時期も早かったので、それで駄目なら仕方ないと思っていました。

その後、第2志望でかなり真剣に迷っていた会社でも、最終面接前に「まだ第1志望の会社の選考が始まっていないので、そこだけは受けたい」という話をしました。

それは、どうして? ウソをついて活動している人も中にはいるのに。
【損得で考えたら損と分かっていて、どうして正直に話したのか?】

学生B私の場合は、ウソをついてうまくいった試しがなくて。逆に正直にいっている方が、よい結果だったので。

あと、第2志望の企業では、本当に人事の方がよくしてくださっていて、この会社なら正直にいっても大丈夫だって思っていました。

その会社ならという話だけど、それは人事担当者が一生懸命連絡してくれていたからということ? この人にはウソをついてはいけないって思ったから?
【正直な方が面接でいい結果が出るからか? それは、人事担当者との関係により変わるものか?】

学生B選考の段階で、すごく頻繁に連絡をくださって、先輩社員の方もいろいろ紹介してくれて、それもあって志望度が高くなっていた企業なんです。だから、正直に話をしても大丈夫だという安心感がありました。

では逆に、それほど志望度が高くなくて、あまり人事担当者との関係性も密ではなかった場合は、正直に答えなかったかもしれない?

学生B志望度が低ければ、それはそれで正直に答えますね。別にいいやって思うから。 むしろ第1志望群で、でもあまり関係性が密ではなくて、選考が事務的に進んでいるような企業だったら、正直に答えなかったかもしれません。



  <学生Cの場合>
学生C僕は内定承諾書を提出するようにいわれたのですが、もう1社受けていた会社があと1週間くらいで結果が出そうだったので、それまで待ってほしいとお願いしました。

志望度としては、どのくらいの差だったの?

学生Cほぼ同じくらいでした。なので、もう1社の結果が駄目だった時点で、内定承諾書を提出し、活動を終了しました。

志望度が高かったら、正直に答えるのってリスクがあると思わなかった?

学生C自分の場合、ウソをつくのが苦手で、正直にいった方がうまくいっていたので。逆に正直にいうことが、自分にとっては得になるって思っていたんです。あとは、もしウソをついたとしたら、入社していい結果にはならないだろうなと思ったし。

それに、自分が他の企業も受けているので1週間待ってほしいといったとき、人事の人に、「採用計画もあって、結構今がギリギリのタイミング」というようなことをいわれて、会社に迷惑を掛けるのは悪いなと思ったし。

なかなかみんな、そうは思ってくれない(笑)。では、第1志望が駄目だったとき、他をもう一切受けないようにしようと思ったんですね。もっといい会社があるんじゃないかっていう未練はなかった?
【学生Cもウソをつくと結果的に損だったために方向転換したのか? また企業の事情に共感した場合、正直な返答をするのか?】

学生C実は、選考を受けていた初期のころは、現在内定している企業の志望度はそれほど高くなくて。もし内定といわれたとしても、承諾書を書いて他の企業を受けるつもりでいたんです。

でも、選考途中で、副社長や社長と会ううちに、真剣にこの人たちと一緒に仕事をしたいと思うようになって。なので、この企業から内定をいただいたら、もう十分だと思いました。



ここまで、座談会の内容をほぼそのまま再現しましたが、一部省略いたします。

以下、今の時期皆さんの興味関心が比較的高い事柄について、結論のみお伝えします。

●内定取得後も活動を続けたか?
 以下のような「一定の線引き」をした上で、活動を継続した友人がいた。

 ・内定を受けた企業より志望度の高い企業が、選考を続けている場合
  ⇒「●●社と▲▲社だけは」と、企業を定めて、その企業が駄目だったら終了する
 ・時期で区切って活動継続する場合
  ⇒「6月いっぱいは頑張る」     など
●内定承諾書は、「口約束」より心理的な影響力はあるか?
 性格によっては、ある程度慎重になる学生もいるが、学生の間では、「内定承諾書には法的拘束力がない」という情報が浸透し、抵抗感なく提出する学生も多い。

 

関係性構築で「正直に答えてもらう」間柄に

今回話を聞いた学生3人は、最初「すべて正直に返答した」と語っていました。

ただ、話を進めているうちに、彼らの中で正直に答える場合と答えない場合があるということが分かりました。その分かれ目は、対象としている企業の「志望度」とその企業・人事担当者との「関係性」の掛け合わせになるということが見えてきました。

この掛け合わせは、以下のようにまとめることができます。

現状、多くの皆さんは、内定出しを終えた段階という前提で、皆さんが対面している内定者には、表の右側の「第1志望群以外」はいないと見なして話を進めます。

これから、皆さんがしなくてはならないこと。それは、内定者の中に自社・自身との関係性が弱く正直に入社意思を答えていない学生がどれだけいるかを把握することです。

そして、関係性の弱い内定者との関係性を強化し、以下に導くことが重要です。

これにより、入社の「読み」が立てられるとともに、内定辞退者を最小限に食い止めることにつながります。

まずは、今回の学生の声をもとに、自社の内定者の状況を整理してみてください。


ページトップへ